Dr.N トーマス・シュトルート撮影、ゲルハルト・リヒターのポートレート<Gerhard Richter in the ReinaSofia, Madrid>(1995)の前のN氏。隣の部屋には、リヒターの珠玉の絵画の数々が。 アートを通して100年先を生きる──。匿名の医師、Dr.Nのメガコレクションを石坂泰章が訪ねた。 観る者を唸らせるコレクションでは、作品どうしが互いの作品を高め合う──。 東京近郊のN氏宅にうかがうと、いつもそう感じる。現代美術最大の巨匠のひとり、ゲルハルト・リヒター(ドイツ)の油彩・水彩・写真が大小織り交ぜて30点以上。ただあるのではない。アーティストの表現の流れをきちんと反映している。それゆえ、かえって作風の多面性も見えてくる。 かと思えば、別の一角には20世紀初頭のコンセプチュアル・アートの祖マルセル・デュシャンのボックスが展示され、美術史に影響を与え続けるそ