いま私たちが音楽と呼ぶものと古代文明のそれとは大きく異なる。17世紀の科学の登場が本来の意味を矮小化した経緯があるという。ビジネスにおいても理論一辺倒の手法の限界が叫ばれるいま、古代人の音楽観から何を学べるだろうか。 ニューヨークを拠点に世界で活躍する伊藤玲阿奈は、音楽にとどまらない豊富な知識を持ち、ビジネスパーソン向けの講演でも人気の「異端の指揮者」だ。古典作品の魅力をわかりやすく伝える教養ものから、楽団を文字通り指揮する立場として語るリーダーシップ・組織論まで、自作のカリキュラムは幅広い。 その中の一つに「宇宙の音楽を聴く」という一風変わったタイトルのものがある。伊藤によれば、高度に洗練された古代文明が考えていた音楽観はまったく聞こえない音までを含む壮大なものだったが、17世紀に登場した科学によって矮小化され、現在の私たちの音楽観に至っているのだという。「宇宙の音楽」とは、その古代人た