東京工業大学大学院の総合理工学研究科は2008年度から「物質創造知財初級概論」という講義を新設する計画だ。同研究科の多くの学生は将来、大学や企業などで研究開発者として活躍する。その学生たちに、研究開発を推進する際には知的財産戦略を立てることが重要と教えるのが、この講義の狙いである。 同講義を新設するきっかけは、物質科学創造専攻の吉本護教授(写真)が2007年度の弁理士試験に合格し、2007年12月に弁理士として登録されたことだった。特許庁のWebサイトに公表された「平成19年度弁理士試験の結果」をみると、志願者9865人の中で合格者が613人、最終合格率が6.7%(注:単純な割り算ではなく、補正がかかっている)と、例年通りに狭き門だった。この合格者の職業別内訳をみると、「教員」は1人と、吉本教授だけ。これまでにも、大学院の現役教員が弁理士試験に合格することはほとんどなかったようだ。 弁理士