日本企業が知的財産を重視し始めてから久しく時間が経ちました。企業の広報発表も10数年前にグンと増え,当時は知的財産関連の記事をたくさん書いたものです。日本企業の特許出願数がうなぎ登りで増えるにつれて,一部の大手海外企業は“日本特許ウォッチャー”のような人材を抱えて,日本企業の特許から技術を読み取りました。結果として,世界の中で日本は「世界の研究所」の機能を果たしたと,よく言われています。 これが進んで,例えば一部のアジア系企業のように,日本企業の研究開発の成果を「使う」ということに踏み切るところも現れ始めました。当然,日本企業は,獲得した知的財産の権利を行使するはずでした。ところが実際には,権利行使はほんの一部にとどまりました。海外企業と闘える弁護士の不足や,権利行使しても実効的なペナルティを課すことができないという知財保護環境の未整備などが原因で,「事実上,権利行使できない状況」に陥って