知財制度は基本的にはいまだに各国別である。特許権や意匠権はそれぞれの国に出願しておかなければ使えない。またある国での裁判結果は他の国の裁判所では基本的には使えない。それぞれの国の主権の下での知財制度であり司法制度である以上、今のところ仕方がない。 ところが商品は柔軟に国境を越えて移動する。ある国に知財権をもっていてそこで権利行使したとしても、知財権のない隣の国に商品を持って行かれると、楽々と逃げられてしまう。実際にある国で侵害を発見し警告書を送った翌年には、その国での侵害品は著しく減少し、その代わりに別な国で販売が急増する。これは商品販売データ上、はっきり表れるが、変化を見ていると、まるで知財版・全世界もぐらたたきである。 新興国の企業は、進んだ技術をもつ企業の特許公開公報を参考にして、商品をつくり、相手企業が出願していない国を選んでそこに輸出して稼ぐ戦略をとる。そのような戦略をとる以上、