1.ワークショップの全体概要 文部科学省科学技術政策研究所は社団法人日本数学会との共催により、5月10日に虎ノ門パストラルで「数学の将来シナリオを考える ―数学を基点とする分野横断型研究の展開に向けて―」のワークショップを開催した。 本ワークショップの目的は3つある。1つ目は、日本の数学研究が置かれている状況をきちんと認識することである。2つ目は、数学研究が新しい科学技術分野を発展させるために果たす重要性を考えることである。さらに3つ目は、日本の数学のポテンシャルを他分野に活用する方策を産学官関係者で討議し、認識を共有することである。 数学は、例えばひとつの定理が物理現象の解明に役立てば、経済現象にも適用できるという具合に、数学は様々な科学分野の基礎を支えている。翻って見れば、科学技術の構造変革をもたらした計算機の開発や、数理ファイナンス、複雑系等の学問分野の創造は、数学研究