さて。 「性的な電子コミック広告」の配信停止については、表現者の立場からも一概に否定できない側面があります。ゾーニング(閲覧環境に応じた適切な区分け)が十分に行われてこなかった結果、作家の意図とは異なる形で断片的に切り取られた広告が、不快感や誤解を生むことがあったのは事実です。 とはいえ、こうした動きが「ひとまず妥当」と受け止められた先には、“正しさ”を理由にあらゆる表現を萎縮させる連鎖が起こりうる、という懸念も拭えません。この文章では、意外と伝わりにくい、「表現規制の滑り坂」への懸念について説明していこうと思います。 たとえば、今回の対応に対して、国民民主党の山口花議員は「児童ポルノに近いシーンのみが切り取られ、誤解を招く」としてゾーニングの重要性に言及し、反表現規制界隈で話題になっていました。 確かに、ゾーニングの強化には意味があります。しかし、同時に問い直したいのは「児童ポルノに近い
