腸内細菌の働きが、健康を決める 20世紀初頭、ノーベル賞受賞者で免疫学者であるロシアのメチニコフは、腸に存在する細菌が、加齢に伴う多くの疾患の発症に関与しているという仮説を立てた。そして21世紀になってようやくこの考え方にスポットライトがあたる。腸内の細菌の研究はこの20年で爆発的に研究成果が発表されている。 そして得られた結論は、体が健康状態を保てるか、病気になるかは腸内細菌による影響が大きい、腸の中でどのような腸内細菌が働いてくれるかが健康を決めるということだ。 高血圧、2型糖尿病、肥満、動脈硬化の人が持つ腸内細菌は、健常の人とは明らかに組成が異なる。病気の人の腸内細菌を調べると、善玉菌である乳酸菌の割合が著しく変化、腸内細菌が生み出す物質、特に短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸)が著しく減少していた。 短鎖脂肪酸は、大腸内で食物繊維を腸内細菌が処理をした結果、作り出されるもので、大