人工知能(AI)の脅威に対する警告で世の中はあふれ返っている。米国の起業家イーロン・マスク氏や元国務長官のヘンリー・キッシンジャー氏を含む多くの人々が、人類はいずれAIに駆逐されることになるかもしれないと警鐘を鳴らしている。そう、映画『ターミネーター』のように。 『ターミネーター』では自我を持ったコンピュータ「スカイネット」が世界を支配する。マスク氏らの警告を聞いて、人類はディストピア(暗黒郷)の入り口に立っていると思う人もいるだろう。 欠陥だらけのアルゴリズムによる殺人 だが、現実にはもっと差し迫った問題が起きている。AIはすでに人を殺し始めているのだ。軍や警察は人々を監視・査定し、結果的にその人物を殺害するかどうかという重大な決断を下すのにAIを使っている。しかも、そのアルゴリズムは欠陥だらけだ。 AIを使った対テロ作戦の危険性を筆者が初めて認識したのは5年前、イエメンでのことだった。