福井県小浜市加斗のJR小浜線加斗駅舎で20年間、理髪店を営みながら、駅業務を一手に引き受け、利用者を見守り続けている夫婦がいる。雨の日も雪の日も、店の定休日も2人で駅舎内を清掃し、妻は切符を売る。「乗客に笑顔で利用してほしいから」と電車が動く365日通い続ける。夫婦の思いが地域住民たちの足を支えている。 塚本久夫さん(71)、朝子さん(67)夫婦=おおい町野尻。1973年、加斗駅前で朝子さんの父が営んでいた理髪店を継いだ。翌74年に加斗駅が無人駅になったことから、ボランティアで清掃などを行ってきた。 95年には理髪店が立ち退くことになったが「当時の駅長や地域住民から強い要望があった」(久夫さん)ため、駅舎内に店舗を構え、駅の業務も同時に引き受けたという。 夫婦は毎日、午前7時ごろ自宅を出て駅に向かう。駅のトイレや床を掃除した後、理髪店の営業準備に取り掛かる。久夫さんは「年齢を重ねるた