(放送コラムニスト:高堀冬彦) 半年間テーマがブレない稀有な朝ドラ 朝ドラとしては異例の熱狂を生んだNHK連続テレビ小説『虎に翼』が、27日に最終回を迎える。現在の時代設定は1959年。主人公で裁判官の佐田寅子(伊藤沙莉)は45歳になっている。 テーマは一貫して憲法第14条の「法の下の平等」。朝ドラの中には途中で迷走し、何を言いたいのか分からなくなるものも珍しくないが、この作品は違った。ブレなかった。 前半は男女差別の不当性が描かれた。寅子は自分たちの高等試験司法科(現・司法試験)の合格を祝う場で演説し、差別への怒りを爆発させた。もちろん私憤ではなく、公憤だ。だから観ていて痛快だった。第30回(1938年)である。 「女は弁護士にはなれても裁判官や検事にはなれない。男性と同じ試験を受けているのにですよ!」 第108回と109回では再び男女差別が描かれた。話の中心となったのは寅子を慕う若手判