業界人にはよく知られているはずの話ですが、啓文堂書店高幡店の志水店長(72年生まれ)が講談社文芸文庫の大岡昇平『愛について』を同店の専売商品として700冊買い切るという条件で見事復刊させたことがありました。今春の話です。その顛末が、PR誌「未来」06年9月号の「書店のABC」コーナーに寄稿した志水雅弘さんご自身の筆になる「「専売」――初めての挑戦」で明らかにされています。 啓文堂書店は京王グループ傘下の中堅チェーンで、都内を中心に三十数店舗を展開。高幡店はその一つです。チェーンでは昨年講談社文庫のとある商品を猛烈に拡販し、それがきっかけで志水さんは講談社サイドに『愛について』の復刊をかけてアタック。実績ある書店からの申し出に、講談社は実に迅速なことに数日のうちに重版を決定、一ヵ月後には重版が出来上がったというのです。すごい。 志水さんは店内で同商品を60面積み、ズバリ700冊全部を陳列し、