猛烈に湯気を立てているケトルに負けず劣らず、キッチンで2人の女性が交わす会話も熱を帯びていた。モスクワ郊外の12階建ての集合住宅でエレーナ・ラザレワ(51)と娘のエカテリーナ(29)は、恋人や夫がいない寂しさを語り、ロシアの男たちへの不満をぶちまける。 2人の間で繰り返されてきた話題だ。恋をして結婚したいと思っているけれど、「いい男がいない」と、管理職として働くエレーナが言い、エカテリーナもうなずく。 モスクワの街を歩き、カフェやレストランをのぞき、アパートを訪れると、こういう女性が至る所にいる。恋人や夫のいない女性たちが集まって一緒に過ごしているのだ。 たいていは高いハイヒールに、オペラかファッションショーに出るような服装をしている。若くて美しい女性が男を「ハンティング」しようとするときの最近定番のファッションだと、ロシア議会のワディム・デンジン議員は言う。「そういう女性たちは、経済力を