超高齢社会である日本で、もはや当たり前となっている「おひとりさま」という生き方。人と暮らすのが苦手で、30代で離婚して以降ひとり暮らしを続ける女優の吉行和子が語った日々の楽しみ、そして「老い」との折り合いのつけ方とは――。 *** 【レア写真】24歳の頃の吉行和子 確かに私はひとりで生きていますけど、私の「ひとり」ってそんな大げさなものではないんですよ。ここまで“偶然”や“仕方なく”が重なって、87歳になった今でもひとりで暮らしているだけで。でも、思い返してみれば、それが必然だった気もするわね。 私の「ひとり」が決定的となったのは28歳のとき。人並みに結婚くらいしておかなくちゃと思っていたところ、所属していた劇団に、たまたま私に結婚を申し込んでくださった人がいて。そのまま入籍して共同生活を始めたんです。でも……。 ダメだった。家の中に人がいることに耐えられなくて、毎晩、家に帰る前に喫茶店に