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ブックマーク / kamiyakenkyujo.hatenablog.com (34)

  • 伊藤整「組織と人間」 - 紙屋研究所

    「組織のようなものにしばられたくない」と若い人たちがどんどん表明しだしたのは、大学での学生運動が下火になりつつあった1970年代後半以降だろう。1980年代は「政治の季節」が去って、個人主義・消費社会へ…と総括されることがあり、そういう単純な総括自体には違和感はあるけども、組織や社会との対立という形で個人の尊厳を重んじる感覚が社会や新しい世代に格的に根づき始めたとは言えるだろう。 「今日ではほとんど常識」 伊藤整が「組織と人間——人間の自由について」と題して講演し、組織と人間を対立の構図のうちにとらえて、人間=個人の側からの絶望的とも思える抗議をしたのが評論である。『小説の認識』の中に収められている。 1953年の講演だから、問題意識としてはかなり早くに提起されたものだ。 小説の認識 (岩波文庫 緑 96-5) 作者:伊藤 整 岩波書店 Amazon 曾根博義の解説でも チャタレイ裁判

    伊藤整「組織と人間」 - 紙屋研究所
  • 大きな枠組みに目を向けさせないようにする - 紙屋研究所

    なぜ「自分のできること」の範囲に限定するのか 娘(中1)が「環境新聞」というのを学校の宿題で作っていて、横から眺めていた。 温暖化について書いている。 「結論は自分ができることを書かないといけないんだ」と言って、ムダな電気を消すとかそういうことを書いていた。 その後授業参観で、クラスの壁に貼られた、クラスの生徒たちがそれぞれつくった「新聞」を見る機会があったが、温暖化だけでなく、ごみの減量とか、プラスチックごみの縮減とか、さまざまな環境問題についてまさに「自分ができること」で締めくくられていた。例外なく全て。徹底した指示・指導なのであろう。 なぜ「自分のできること」の範囲に限定するのだろうか。どうして「2030年に8%という低すぎる福岡市の再生可能エネルギー普及率の戦略を引き上げる」とか「プラスチック全般に拡大生産者責任を徹底する」とか、そういう「大きな話」を書いてはいけないのだろうか。*

    大きな枠組みに目を向けさせないようにする - 紙屋研究所
    soylent_green
    soylent_green 2020/11/13
    “社会の大きな枠組みに目を向けさせないようにすることが、実は立派なイデオロギー教育である”
  • すでに明らかなことを本に書く気はない - 紙屋研究所

    拙著が家に届きました。 今日あたりから書店に並ぶと思います。「不要不急の外出自粛」が呼びかけられている地域も多い中であり、まあ「必要であり急ぎである買い物」と位置付けてもらって……とは申しませんが、何かの折にぜひお読みください。あまり初刷りはありませんので、かなり大きな屋でないと、取り寄せない限りないんじゃないかと思います。こういう時こそを読んでぜひご感想をください。 家ではつれあいが読んでくれました。だいたい何事にも辛口なことが多いつれあいなのですが「面白い」と言ってもらい、しかも具体的にここがというのを的確に指摘してくれたので、身内の評ながら1週間ぐらいハッピーでいられました。 このは「表現の自由」を扱ったですが、例えば「あいちトリエンナーレ」の事件にさいして「政府からの圧力は表現を萎縮させるものであり、表現の自由を脅かすものだ」ということは、少なくともぼくにとってはかなりクリ

    すでに明らかなことを本に書く気はない - 紙屋研究所
  • 『NANA』は「多様性ある家族像を根底から否定する前近代的な家族観」か? - 紙屋研究所

    「しんぶん赤旗」で中川裕美が「少女マンガとジェンダー」という連載をしている。毎回楽しみにしている。 2月15日付は、第7回。ゼロ年代のマンガとして矢沢あい『NANA』が取り上げられている。 すでにツイッターで簡単な感想を書いた。 赤旗15日付、中川裕美「少女マンガとジェンダー」7回目は『NANA』。主人公の一人である奈々が「何人もの男性と恋をし、時には性行為もする」ことについて、中川は、「一人の少年(男性)としか恋愛をしない、いわば徹底した貞操主義」のマンガ作品群の恋愛観とは「相反するものである」と規定する。 — 紙屋高雪 (@kamiyakousetsu) 2019年2月20日 中川の評では、主に『NANA』に関連してジェンダー上の2つの問題が指摘されている。 一つは、「貞操主義」。 もう一つは、「母性神話」。 貞操主義? まず前者の「貞操主義」。これは『NANA』が貞操主義だというわけ

    『NANA』は「多様性ある家族像を根底から否定する前近代的な家族観」か? - 紙屋研究所
  • 『この世界の片隅に』の原作とアニメの距離――もしくは戦争についての創作はどう描くのが「成功」なのか - 紙屋研究所

    書いていたら長くなった。 先に要旨をまとめておく。 マンガ『この世界の片隅に』は前半が戦前・戦時の日常の描写、後半が主人公の心象であり「記憶」と「想像力」をめぐる物語である。他方、アニメ「この世界の片隅に」は、戦前・戦時の日常をそのまま再現・保存することにしぼられた作品であり、原作のもつ後半部分は後景に退いている。両者は別々の作品(別個の価値をもつ作品)である。 戦争小説戦争をめぐる創作(マンガ・アニメ・映画・ドラマ・演劇…)は手法と題材を選ぶことで、何かを強調し、何かを切り捨てるので、どんな作品であっても批判は呼び起こされる。多様な書き手が多様に描くことでしかこのジレンマは解決されないのではないか。 以下は、映画・原作のネタバレが含まれている。 「暗い」「つらいから読みたくない」と「楽しくて何度も読み返したくなる」 「女性のひろば」という雑誌(共産党発行)の2017年1月号に「『この世

    『この世界の片隅に』の原作とアニメの距離――もしくは戦争についての創作はどう描くのが「成功」なのか - 紙屋研究所
  • 斉藤利彦『明仁天皇と平和主義』 - 紙屋研究所

    天皇明仁の問題意識 天皇の生前退位が話題である。 天皇が訪問できなくても、「調子悪い」って言って寝ておけばいいんじゃないの? 無理していく必要あんの? と思っている人も多かろう。(まあ、それでもいいと言えばいいのであるが。) そのあたり、天皇明仁が、象徴天皇というものをどうとらえているのかを知っておく必要がある。 そこで書斉藤利彦『明仁天皇と平和主義』ですよ。 『明仁天皇と平和主義』が描く明仁像は、彼が日国憲法に定められた象徴天皇とはどういうものかを模索してきた天皇だというものである。 斉藤の書で紹介されている明仁の言葉は、次のようなものである。 象徴とはどうあるべきかということはいつも私の念頭を離れず、その望ましい在り方を求めて今日に至っています。(書位置No.1495=kindle版の位置情報、以下同じ) 「日国憲法に定められた象徴天皇」ということは、政治への権能を一切持たな

    斉藤利彦『明仁天皇と平和主義』 - 紙屋研究所
  • 参議院選挙の結果を見て - 紙屋研究所

    野党共闘の、「驚くべき」と言ってよい「成果」 参院選が終わって一番の注目すべき点は、何と言っても野党共闘をした1人区で11も勝利したことだろう。1人区での野党の勝利は前回わずか2だったのだから、正直驚いた。 民進党は前回2013年参院選の17と比べれば32を獲得した。民進党内でどう評価され、どう表現されるかよく知らんが、「ウハウハと言っていいんじゃないか。民進党にとっては『起死回生の野党共闘』だ」とか言ってた民進党関係者もいた。 「共産党と一緒だと損だ。民進党は目を覚まして共産党を切り、健全野党になれ」的な意見をネット上でチラホラ見たけど、こういう目の前のソロバン勘定だけで考えても、この種の意見は説得力に乏しい。だけど、そういう目の前の利益だけでなく、長期的に考えて、日政治文化にとってもこの道が一番いいだろうとぼくは思う。 安倍首相の支持率はなぜいつまでも高いのか 安倍首相ではないが、

    参議院選挙の結果を見て - 紙屋研究所
    soylent_green
    soylent_green 2016/07/13
    言うても都知事選にかつぐのが鳥越なんだもんなあ
  • 舘野仁美『エンピツ戦記 誰も知らなかったスタジオジブリ』 - 紙屋研究所

    ぼくの仕事は裏方的なものだ。 仕事とは別に、左翼の運動についてもぼくのやっていることは裏方である。 芝居でいうと、議員とか候補者は俳優にあたる。 でも芝居には、照明とか音響、舞台美術、メーキャップの仕事も必要だし、そもそも脚とか監督という仕事もある。チケットを売ったり、宣伝したりする仕事もある。 裏方から芝居を見たら芝居というものはまったく別の見え方をする。 政治についても、裏方からみるとまったく別の見え方をする。 『エンピツ戦記』は、ジブリのアニメーターだった舘野仁美の回顧であり、回顧を通じての宮崎駿論、ジブリ論にもなっている。 舘野の役割は動画チェック。「アニメーターが描いた線と動きをチェックする仕事」(p.14)であり アニメーター仕事の中で、いちばん地味で目立たない裏方で、まさしく縁の下の力持ちであることを求められます。(同前) 裏方論として読む 書の魅力の一つは、裏方論であ

    舘野仁美『エンピツ戦記 誰も知らなかったスタジオジブリ』 - 紙屋研究所
  • 同性愛を「気持ち悪い」と思うこと - 紙屋研究所

    「同性愛は異常だ」という発言をする人は、ある性愛の有り様が自分にとって気持ち悪い、ということを根っこにもっているんだろう。 ヘテロセクシャルでも、たとえば自分の上司(疲れた年輩のじーさん)が自分の職場の高齢の経理の女性といちゃいちゃしたりセックスしている姿を想像するのは「気持ち悪い」と思うことがある。あ、いや、別に「経理の女性」というのはあくまで一例であって、「なんで経理の女性なんだ」とかつっこまないでくれ。一例ですよ一例*1。「経理の女性」でなくても、その上司が同年代のとセックスしている姿も想像すると「気持ち悪い」。 ぼくは、自分の多くの身近な年輩の男女のセックスを具体的に想像すると「気持ち悪い」。ぼく自身ももうすぐその年齢にさしかかるというのに、そう思ってしまうのは、何だかなと思うのだが、そう思ってしまうこと自体はまあ仕方ないんじゃないのか。*2 性的な嗜好というものは、とても敏感な

    同性愛を「気持ち悪い」と思うこと - 紙屋研究所
  • 坂爪真吾『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』 - 紙屋研究所

    人間だれしも先生を「おかあさん」と呼んでしまうことは生涯で二度や三度はある。いや、隠さなくてよい。あるんだってば。だれにも。な。 「おかあさん」ならまだしも「ママ」だった日には目も当てられない。まだ「おかあさん」であった幸運を言祝ぐべきであろう。いまは母親の呼称として「ママ」って普通だけど、私が子どもだった1970年代には母親を「ママ」って呼んでいるやつは愛知県三河地方では完全なマイノリティーだった。俺の場合は「おかあちゃん」と呼んでいたので、逆に現代だと比較する爆発力は「ママ」のそれに匹敵するかもしれない。 けらえいこ『あたしンち』には、このような言い間違いについてのエピソードが登場する。 男性教諭が壇上で無駄話をするのであるが、そのおっさん先生は、自分がのことを、間違えて、自分の弟の名前で呼び捨てにしたというのである。 それが意味するところは、自分のが、かつて自分が実家で同居してい

    坂爪真吾『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』 - 紙屋研究所
  • 文書にして出すということ - 紙屋研究所

    娘が保育園を卒園した。 0歳児から6年間預けた。子どもは一人しかいないので、おそらくこれで保育園とはおさらばだろう。 保護者会の会長を最後の1年間つとめた。 園の存続が大問題になり、ぼくとしてはこれに明け暮れた1年だった。いったい保育園が消えてなくなるかもしれない、という事態なのに、「保育の向上」を組織目的にかかげる保護者会が何もしなくてどうする、というのがぼくの思いだった。 今はまだ詳しく書けないが、かなりのことができたと思う。しかもそれはぼくにしかできないことでもあった。支えてくれる人がたくさんいて、心底うれしかった。 組織体としてもPTA的形骸化が進みつつあった中で、久しぶりに自主的な運動の息吹をとりもどしたと感じた。 この運動の中で感じたことは、「文書にして意思を示す」ということの大事さだった。特に、お役所との関係では、決定的である。 地域(地元の町内会のようなもの)に要請というか

    文書にして出すということ - 紙屋研究所
  • 『橋爪大三郎のマルクス講義』 - 紙屋研究所

    にゃかにゃか気持ち悪いであった。 微妙に合っているけど、微妙に(または大幅に)間違っているから。おまけにインタビュアーも、 はい。ちょっとかじり読みしたことを、知ったふうに口走ってしまいました。(書p.150) って何だよ。 たとえば橋爪のマルクス評価は「ニュートンに匹敵する」(書p.48)という高いものであるが、そう評価したすぐ後に、正規と非正規の問題、正社員と派遣労働者の問題、すなわち格差の問題は「こういうふうになっていない」(書p.49)というのである。なぜなら「マルクスのモデルは、同一労働同一賃金」(同)だからだと。 橋爪は別のところでもくり返しこの問題にふれていて、マルクスは「すべての労働は単純労働に一元化されていて、労働の質は無視されていて、時間で測れる」(書p.134)とか、「すべての労働は同一・同質で、複雑労働とか技術労働とかは一切ないと考える」(書p.154)

    『橋爪大三郎のマルクス講義』 - 紙屋研究所
    soylent_green
    soylent_green 2014/02/05
    キリスト教につづいてマルクスまでいい加減な本を出してしまったか橋爪せんせー
  • 本を出します 『超訳マルクス』 - 紙屋研究所

    を出すことになりました。 『超訳マルクス ブラック企業と闘った大先輩の言葉』(かもがわ出版)です。 http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ta/0645.html 超訳マルクス ブラック企業と闘った大先輩の言葉紙屋 高雪 かもがわ出版 2013-10-25 売り上げランキング : 7693 Amazonで詳しく見る by G-Tools カール・マルクス著、紙屋高雪訳、ということです。イラストがかなり使われていて、文以上に印象に残るかもしれませんが、加門啓子さんにお願いしています。10月中・下旬に書店に並ぶと思います。 ほぼ国際労働者協会(第一インタナショナル)関連でマルクスが書いたりしゃべったりした文章ばかりです。 働いてるおまえらに聞いてほしい(国際労働者協会創立宣言) 金持ちの相続権なくせば世の中かわるのかよ(相続権についての総評議会

    本を出します 『超訳マルクス』 - 紙屋研究所
  • 映画「風立ちぬ」を批判する - 紙屋研究所

    宮崎駿監督の『風立ちぬ』を観た。お盆で帰省し、子どもを見てもらっている間に夫婦で。 ちょっと長くなると思うので、最初に結論書いておこうか。 恋愛要素は男目線で気持ちがノッた。 飛行機にかける夢についてはロジックがまったく詰め切れられておらず、面白くなかった。 零戦をつくった責任について無邪気すぎるという点が最大の批判点。 えーっとネタバレもありますから、読む人は承知して読んでほしい。 あらすじを知らない人はここを読まないだろうけど、一応。零戦(零式戦闘機)の設計者として有名な堀越二郎という実在の人物の半生を描き、それに堀辰雄の小説『風立ちぬ』のラブストーリーをまじえ、菜穂子という少女との恋愛をからめて虚構化した作品。 ジブリの公式のあらすじ解説はこちら。 http://kazetachinu.jp/story.html 恋愛要素は男目線で気持ちがノッた 菜穂子との恋愛は、(;゚∀゚)=3ム

    映画「風立ちぬ」を批判する - 紙屋研究所
    soylent_green
    soylent_green 2013/08/19
    紙屋さんの風立ちぬ批判は代々木の内ゲバ感があるのでそれはそれでよいが法華狼氏あたりがパシフィックリムを批判するという明後日の展開のほうが見たい
  • (コメント欄)共産党は癌なのか - 紙屋研究所

    参院選の結果を受けての、東浩紀のこの発言。 共産党は日の癌だ。共産党の主張が悪いというのではない。絶対に為政者にはならないという安心感のもとに、為政者への不満だけを吸い上げる党という存在がある、その事実が日政治をひどく損ねている。共産党の批判は決してぶれないから、そこに不満が流れ込む。でもそれはなにも変えないのだ。 https://twitter.com/hazuma/status/358984438501224448 Twitter / hazuma: 共産党は日の癌だ。共産党の主張が悪いというのではない。絶対 ... この人が、どうして政治的な迷路にハマリ込んでいってしまったのかがわかる。前から言ってるけど、東は自分なりに何か切実な問題(保育園をふやして、とか、生活保護を切り下げないで、とか)をかかえて政治にかかわってみれば、「『共産党はなんでも反対だから』みたいな居酒屋談義を

    (コメント欄)共産党は癌なのか - 紙屋研究所
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    soylent_green 2013/07/23
    「生活とつながった政治への関与をしていないので、マスコミで借りてきたみたいな杜撰な認識のまま、レベルの低い発言をしてしまう」これねー。ほんと話を聴いてくれる議員てありがたいのよね
  • 選挙における気になる思考方法 - 紙屋研究所

    参院選も最終盤だけど、「●●という仕事がすばらしかったから」という1つや2つの理由で、候補者Xを推している人がときどきいる。最近とみに増えてるな。 そいつをAとしよう。 もちろん、それは自由だよ。どういう理由でAが候補者Xを推すのかは自由だよ。 だけど、候補者X、もしくはそいつが所属していた政党が国会で消費税増税法案に賛成しているなら、候補者Xはもちろん、候補者Xを推しているAも消費税増税という大衆収奪に責任を負うんだよ、当たり前だけど。 「いや、●●という仕事についてはいいと思ったけど、消費税増税に賛成したことは別にいいとは思ってないよ」とかいう言い訳は効かない。効かないに決まってるだろ。アホか。 だって、候補者Xとその所属政党は賛成してんだもん。国会で議席を得てそういうものに手をあげるとか起立するとかして賛成するのはものすごく重いことなんだ。生活、ときには命を奪ってるかもしんないんだよ

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    soylent_green
    soylent_green 2013/07/17
    鈴木寛や大河原には入れるなという共産党員からのメッセージ
  • 吉本佳生『日本の景気は賃金が決める』 - 紙屋研究所

    また、アベノミクスの紹介です。 たらたらと書いているうちに、アベノミクス自体がどうなっちゃうかわからないんですが、つづけます。 今回は、吉佳生『日の景気は賃金が決める』(講談社新書)です。 以前、小幡績『リフレはヤバい』をいちばんわかりやすいだと紹介しましたが、そのときに1つ留保をつけました。 実は、ぼくとしてはこの吉のほうがわかりやすいと思いました。 ただし、それはきちんとを読んでいけるというタイプの初心者の場合です。 小幡のは、ざっくりとリフレ、とくにインフレとはどういうことかを語り口調で書いていて、経済を勉強すること自体になれていないという人は、たぶん小幡の方が入門しやすいと思いました。 吉のは、定義や概念をきっちりとおさえて、積み重ね、すすんでいく、という作業をしっかりやっています。だから、これは勉強しようと思って読むと勉強になると思います。だけど、その分、読書体験が

    吉本佳生『日本の景気は賃金が決める』 - 紙屋研究所
  • あずまんの不幸 - 紙屋研究所

    橋下市長の「慰安婦は必要だった」について東浩紀氏「問題発言なのか?」 - Togetter 東浩紀は、「問題発言なのか?」と言っている。こういう書き方をすれば「問題発言のはずがない」という反語に聞こえてしまうのはしょうがないと思う。 だけど、そのあと、東がつぶやいたのは、 あの発言を問題視しているひとは、「政治的に正しい戦争は慰安婦なしでも行われるべきだ」と主張するのだろうか。いやいや、正しい批判は、むしろ「戦争は慰安婦を含めあらゆる暴力を呼び寄せるものなので、やっぱ戦争はよくない」というものだろう。 https://twitter.com/hazuma/status/333810569620639744 というもので、「問題発言です。でも批判の仕方がよくない」という具合の構造になっている。その点で東の発言を「橋下発言の擁護者」というふうにだけ描き出すと東に足もとをすくわれる。 こういう東

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  • 娘が絵本を読まなくなってしまった - 紙屋研究所

    5歳の娘は今年、年長である。絵を読まなくなってしまった。 どうなっているかというと、マンガばかり読んでいるのである。 児童マンガとしての『よつばと!』 - 紙屋研究所 実験的に与えたのだが、さすがにこれはどうなんだという不安の気持ちで見ている。つれあいが、お前がマンガなど与えるからという目で見ている。 図書館に行かなくなってしまった。「いかない」と言う。しつこく誘うが行かない。買い物のついでに寄ったりするとそれなりに楽しんで過ごすくせに、「いく」とは言わないのである。 ちょっと待て。整理しよう。 ぼくは一体、何を不安に思っているのか。 そもそもそれは当に「不安」なのか。 ぼくの不安の中核「このままマンガ漬けになって、字のを読まなくなったらどうしよう」 ぼくはいま自分が好きだから、好きの子どもに育ってほしいという願いを持っている。そこで出てくる不安は「このままマンガ漬けになって、字

    娘が絵本を読まなくなってしまった - 紙屋研究所
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    soylent_green 2013/04/25
    小学校の頃はマンガがうちになかったのでしょうがないから活字読んでた。今はまったく読んでいない。
  • 菅直人『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』 - 紙屋研究所

    原発事故に備えて防災計画を自治体につくらせるべく、原子力規制委員会が防災指針をしめした。福島原発級の事故が起きたとして、30キロ前後がヤバい、と。んで、平均的な風とかそういうものでのシミュレーションを出して、それでうちの町が入ったとか入ってねえとか、いやあれ間違いでしたとか言ってる。 さらに、そういう想定にもとづいて、避難訓練とかやっちゃったりして、参加した人が「こんなに車がスイスイ走れるわけねーだろ」とかボヤいている。 何なんだこれは。 ストレートにいうと、原発事故がなんで福島級で打ち止めみたいな話になってんだ。 シミュレーションで、うちは入ったとか入らないとか、法律的な準備からいうとたしかにそれは大ごとなんだろうけどさあ。原発事故ってそういうもんじゃないだろ。 お前らはナニか、原子炉に人格があって、「おれ今から事故るけど、やっぱ、防災指針のとおりに事故って、放射性物質も指針にそって拡散

    菅直人『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』 - 紙屋研究所