本編より約2年前。 ツヴァイウィングの公演中に認定特異災害ノイズが大量発生した一件。 その場には、観客、関係者あわせて10万を超える人間が居合わせており、 死者、行方不明者の総数が、12874人にのぼる大惨事であった。 これだけでも他に例を見ない規模の事故であったが、 悲劇はここで終わらず、さらに連鎖していく。 被害者の総数12874人のうち、 ノイズによる被災で亡くなったのは全体の1/3程度であり、 残りは逃走中の将棋倒しによる圧死や、 避難路の確保を争った末の暴行による傷害致死であることが、 週刊誌に掲載されると、一部の世論に変化が生じ始める。 死者の大半が人の手によるものであることから、 生存者に向けられたバッシングがはじまり、 被災者や遺族に国庫からの補償金が支払われたことから、 苛烈な自己責任論が展開されていくのであった。 週刊誌の記事内容は取材に基づいた正確なものであったが、