文化庁は、2015年に国宝・重要文化財建造物の保存・修復には国産ウルシを使用するよう通達を出した。 これをきっかけに、全国でウルシの増産のためウルシノキの植林が始まった。これまでウルシは、需要の9割以上を中国産に頼り、国産ウルシは、たった3%しか生産されていない。少なくとも生産量を2倍にしないと、文化財の修復には足りないだろう。ウルシは、樹齢10年以上の木から樹液を採取するものだから、今から多くのウルシ林を育成しないと間に合わない。 ところが、せっかく植えたウルシノキが衰退し枯れる現象が各地で確認され始めたのだ。 これまで原因は、管理不足やウルシの不適地に植林したからとされていた。だが、どうも生物的要因、つまり害虫や病気の蔓延もあるのではないかと、森林総合研究所が調べ始めた。 そして、ファイトフトラ・シナモミというPhytophthora属の菌が根腐れを誘発して引き起こす病害であることを突