非常にまれなパーセンテージで「知ってしまう」子供というのがいる。その子がどのようにして「それ」を知るかはわからない。持って生まれた資質なのか、あるいは環境なのか。 「それ」というのは、この世界を成立させているルールのようなものだ。たいていの人間関係は利害だとか、人間の数だけ正義があるとか、人はその正義を捻じ曲げながら生きているとか、ときどきは人間は愚かだし、別のときにはそうでもないし、そういう、世にいう「大人」というものが、なんとなくは体感している人間にまつわるいろんな性質のことだ。 そういうものの本質部分を鋭く察知してしまう子供というのがいる。 過去に存在したこの手の子供は、自分の知ってしまったことを抱えきることができなくて自壊していくか、あるいはなんらかの点において持ち上げられるか、それとも自分の知ったことを精神の深い場所に押し込めて静かに歪んでいくかくらいしかできなかったのだが、はる