もしあなたが、ビール会社の社員だとしよう。ある日突然、何の前触れもなく上司から呼び出される。「来月から1年間、NTTドコモで働いてくれ」と言われたら――。 このユニークな制度を考案したのは、ホールディングス化する前のアサヒビールで、当時人事担当役員だった小路明善・現アサヒビール社長。「それまでも縁あってグループ外の企業と交流をしたことはあったが、社員の育成に活用しようと位置付けたものではありませんでした」とアサヒグループホールディングス人事部門の加賀屋睦ゼネラルマネジャーは話す。 飛び込みで電話し、受け入れ先を開拓 この制度が本格的に始まったのが2008年ごろ。小路氏の号令で、本格的に「受け入れ先」の開拓がスタートした。 そのやり方は非常に泥臭い。「まずは雑誌などで特集している、働きやすさ、社員満足度の高い『企業ランキング』を読み、比較的上位にあった会社に勝手に目星をつけて、いきなり人事に
