アサヒグループホールディングスにはこのような“恐怖”の制度、「国内武者修行研修」が存在する。縁もゆかりもない企業に異動を命ぜられる。しかも、部署も基本的に今の所属とは関係なし。「このノウハウを吸収してきてほしい」という明確な目標もない。 このユニークな制度を考案したのは、ホールディングス化する前のアサヒビールで、当時人事担当役員だった小路明善・現アサヒビール社長。「それまでも縁あってグループ外の企業と交流をしたことはあったが、社員の育成に活用しようと位置付けたものではありませんでした」とアサヒグループホールディングス人事部門の加賀屋睦ゼネラルマネジャーは話す。 飛び込みで電話し、受け入れ先を開拓 この制度が本格的に始まったのが2008年ごろ。小路氏の号令で、本格的に「受け入れ先」の開拓がスタートした。 そのやり方は非常に泥臭い。「まずは雑誌などで特集している、働きやすさ、社員満足度の高い『