ゴドーを待ちながら サミュエル・ベケット 白水社 1990 Samuel Beckett En Attendant Godot 1952 [訳]安堂信也・高橋康也 エストラゴンが「どうにもならん」と言って始まる。そこは田舎道で、エストラゴンは道端で片っぽの靴を脱ごうとしている。するとヴラジーミルが「いや、そうかもしれん」と言う。びーん。「そんな考えに取りつかれちゃならんと思ってわたしは、長いこと自分に言いきかせてきたんだ」。 こんな芝居はかつてなかった。ともかく二人のとりとめもない会話がえんえん続くだけで、何もおこらない。そこへやっと首に綱をつけられたポッツォがラッキーに引っ張られて登場し、これで何かが始まるかというと、もっと何もおこらなくなっていく。何かがおこってほしいという期待はことごとく裏切られ、それなら何もおこらないと見えたことは何だったのかが問われてくる。 そのうち舞台は、「何か