はじめに アフガニスタンでタリバンがカブールを掌握したことで、そのタリバンの後ろ盾となってきた隣国、パキスタンに注目が集まった。パキスタン政府は公式には認めないが、1990年代半ばにアフガン国内でタリバンが台頭して以来、1996~2001年のタリバン政権期、その後の反政府勢力としての活動期に至るまで、パキスタンがパキスタン軍統合情報部(ISI)を通じて、一貫してタリバンに多様な支援を提供してきたことは、公然の秘密である。 パキスタンのタリバン支援の背景には、過去70年超にわたり続く、同国とインドとの対立がある。そして、そのパキスタンとタリバンの関係性に限らず、アフガニスタンの情勢は、歴史的に印パ対立と密接な関わりを持って展開されてきた。しかし、アフガニスタン問題に関してイスラムの側面が強調されがちな日本国内では、この問題と南アジア、特に印パ関係との結びつきがあまり理解されない。よって本稿で