北九州市の住宅街でイノシシの出没が相次いでいる。 2010年度に市に寄せられた相談は904件と09年度(209件)の4倍を超え、市に記録が残る03年度以降、最多。住宅への被害も出ており、市は注意を呼びかけている。 市によると、昨年春の長雨や猛暑などにより、山ではイノシシの食べ物が不足しているとみられ、門司、小倉北区などの住宅街で目撃情報が急増。「道路を突進してきて突き飛ばされそうになった」「怖くて外出できない」といった相談が相次いだ。けが人の報告はないが、昨年11月には門司区黒川で、住宅の門が壊される被害も出た。 相談は例年、夏以降に増えるが、今年度は4月だけで24件と、昨年同月(5件)を大幅に上回っている。 市農林課の川崎実課長は、人が餌を与えていることも原因に挙げる。「本来は警戒心が強い動物なので、人に近づかない。餌をもらうなどして『人間は安全』と学んだのでは」とみる。