金融庁の新しい長官に氷見野良三氏が就任した。金融業界ににらみをきかす行政のトップともなると、“こわもて”をイメージするかもしれないが、柔和な表情と語り口が印象的だ。新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見通せない中、氷見野氏は金融庁をどう舵取りしようとしているのか、インタビューした。(経済部記者 柴田明宏 白石明大) 氷見野良三氏は富山県出身の60歳。1983年に当時の大蔵省に入ったあと、金融庁で大手銀行を監督する「銀行第一課長」などの主要ポストを歴任。2016年から4年間、金融庁の国際担当のトップ「金融国際審議官」を務めた“国際派”でもある。 金融庁長官として、やはり最大の課題となるのは、新型コロナウイルスの感染拡大への対応だ。影響を受けた中小企業などを支援するため、金融庁は、銀行や信用金庫などに対して、融資の返済猶予に柔軟に応じることや、政府の経済対策による実質無利子無担保の融資も活用し