[東京 10日] - 日本銀行による量的・質的金融緩和をいつ、どのように終わらせるか。その「出口」戦略にはインフレ期待に働きかけるという本来の政策効果を減殺しかねないリスクがある。日銀はとるべき方策を語らず、議論は封印されている印象すらある。 しかし、質的緩和の大きな柱であるETF(上場投資信託)購入策については、有効な選択肢があると筆者は考える。日銀保有のETFは9月末時点で取得額が27.6兆円の規模に達しており、緩和策の出口として市場売却されれば、株価への大きな影響が懸念される。だが、直接の市場売却ではなく、たとえば「信託型従業員持ち株制度」のような仕組みを構築し、年金資産としてプールすれば、長期にわたるなだらかな現金化が可能になる。懸念される市場の激変は避けられるだろう。