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社員を大切にする経営一筋で50期連続増収増益の伊那食品工業(長野県伊那市)が、人手不足時代に入っても採用に困るどころか日本中からますます優秀な学生を集めている(前回の記事参照)。 世の中が成果主義人事ブームに沸いていても馬耳東風。頑なに年功序列を守ってきた。 その結果は社員の給与水準は同業他社より上がり、若くして一戸建て住宅を購入、さらに生活の安定から3人以上の子供を持つ社員が増えているという。少子高齢化が進む日本にとってありがたい話である。 生活の安定が画期的商品を生み出す 安定を求めるのは変革への大敵という考えがあるとしたら間違いだ。伊那食品工業の場合には、生活の安定が様々な画期的製品を生み出すのに一役買っている。 伊那食品工業の製品は「寒天」である。日本市場の約80%、世界市場の15%のシェアを誇る。 世界シェアが低いのは、同社が日本市場を中心にしていることもあるが、寒天は約400年
我々は"現実"をありのまま受け取っているわけではない。いったん視覚情報や触覚情報といった身体表面から情報を受け取り、それを脳で解釈することによってはじめて"人間用に最適化された、人間用の世界"を構築する。我々はある種のフィクションの世界を生きているわけだ。 と、大層な語りだしではじめたけれども、本書はそうした現実の解釈機関である脳についての一冊だ。著者のデイヴィッド・イーグルマンは日本でも『あなたの知らない脳──意識は傍観者である』で知られる神経科学者で、巧みな文章で脳科学の世界を紹介する伝達者である。本書『あなたの脳のはなし: 神経科学者が解き明かす意識の謎』は著者が監修・出演した(世界で人気なのだ)BBCのテレビ番組の書籍版であり、「人はどうやって決断を下すのか」、「人はどうやって現実を認識するのか」など縦横無尽に語ってみせる。 本書だけで脳科学が全てわかるわけではないが(そんな事はど
2017年のノーベル化学賞を受賞した(左から)ジャック・デュボシェ氏、ヨアヒム・フランク氏、リチャード・ヘンダーソン氏(2017年10月4日撮影)。(c)AFP/Jonathan NACKSTRAND〔AFPBB News〕 2017年度のノーベル物理学賞、化学賞が出ました。物理は大方の予想通り重力波、基本的な業績を挙げられたパイオニアの表彰、これについてはJBpressでも専門家である小谷太郎博士の解説などが出ると思います。 本稿では今年のノーベル化学賞について、やはり分かりやすい切り口からスケッチしてみたいと思います。 どことは言いませんが新聞の見出しで「ノーベル化学賞 欧米の3氏へ」というヘッドラインを見かけました。意味ないですね。 「日本からの受賞が何年連続であったけど・・・」といったことしかデスクの興味がないのでしょう。予定稿を準備した記者も災難です。 私は大学外交の担当者として
スウェーデン・ストックホルムのカロリンスカ研究所で、2017年のノーベル医学生理学賞受賞者を発表するノーベル委員会のメンバー(2017年10月2日撮影)。(c)AFP/JONATHAN NACKSTRAND〔AFPBB News〕 またしても音楽家の観点から興味あるノーベル賞が出ました。例によって、世界で一番早い、また世界でほかのどこにもない観点からの「ノーベル賞受賞業績解説2017」をお届けしましょう。 今年度のノーベル医学・生理学賞は「体内時計」の分子機構を解明したジェフリー・ホール、マイケル・ロスバシュおよびマイケル・ヤングの3氏に与えられました。 また彼らが国籍においてナニ人とかいう話はサイエンスと全く関係ないので一切触れません(苦笑)。 この現象は今現在の私自身にとっても大変切実です。と言うのも、先週土曜日までアムステルダムにいたので・・・。 月曜朝10時から大学の会議があり、そ
来週はお盆休み明け。再び会社で仕事という人が多いことだろう。朝いつものように出社して、午前中に一仕事。そして昼休み、社食や近くの食堂で昼食をとる。職場に帰ってきて、いざ午後の仕事。 ところが、だ。午後2時になろうとする頃、それは襲ってくる。「睡魔」だ。 昼までは感じなかったような眠気が急に来て、予定していた仕事が手につかなくなる。そのような経験をしたことがないだろうか。 「職場で眠るわけにはいかない。けれども眠い。どうしても眠たい」 仕事の結果に支障をきたさなければ、居眠りしてしまってもいいという考え方もあるだろう。だが、ウトウトしているのを上司や他の社員に見せるのは、やはり心象を悪くするものだ。 どうして、昼食を食べた後の時間、激しい眠気に襲われるのだろうか。この昼食後の眠気、どうにかならないものだろうか。 こうした悩みを深刻に抱えている人もいるのではないだろうか。そんな思いを胸に、今回
私自身、比較的最近まで、その意味するところをきちんと理解していなかった面があると、このところ反省しています。 「デファクト・スタンダード奪取」としての「ビッグデータ」の持つリスクに今回は注目してみましょう。 この原稿はベルリンからアムステルダムへの移動中に書いていますが、フィレンツェ、ミュンヘン、ベルリンなど各地で、問題意識の共通する議論を立て続けに耳にしました。 インターネット事始め やや古い話から説き起こしてみましょう。1995年、私は当時30歳でしたが、喧伝され始めた「IT革命」なる言葉に、様々な思惑を感じつつネットユーザとして環境に順応していったのを覚えています。 素粒子物理実験の国際ネットワークにつながっていたので、電子メールやチャット、現在使っているようなSNSに近い感覚を1980年代半ばから経験していたので、システム自体には違和感はありませんでした。 ただ、当時はすべてのドメ
食品にさまざまな風味を与え、おいしさを演出するフレーバー(食品香料)が、科学・技術の進歩とともに進化している。見た目は透明な水なのに果物や野菜の味がするフレーバーウォーターや、まるで焼肉を食べているような香りやコクを感じるスナック菓子など、フレーバーによる驚きの食品が次々に登場している。 考え抜かれた香りが食品の魅力を引き出す さわやかな果汁の香りがするサイダー。フルーツ味のシャーベット。甘い香りの焼き菓子。どれもおやつの定番だが、もしも香りがなかったら、その美味しさを感じることはできないだろう。 香ばしい菓子に、ついつい手が伸びるのは、食欲をそそる風味があるからこそ。風邪をひいて鼻が詰まったときの食事は美味しく感じられないように、食品の香りは、味や舌ざわりとともに、美味しさを構成する重要な要素である。 また、香りは食品から情報を得るための重要な要素でもある。例えば、食品から不快な臭いがす
私心さえ除き去るなら、進むもよし退くもよし、出るもよし出ざるもよし。 長州藩士、吉田松陰の言葉である。人は相手に私心が見えると嫌悪感を覚える。しかし、ビジネスは私心との戦いである。 自分の利益を優先するか、相手の利益を優先するか。私心にまみれてビジネスを展開すると、目先の利益は得られたとしても、長期的にはうまくはいかない。 そんな事例は枚挙にいとまがない。とは言え、目の前の利益を取りに行きたいという気持ちは折りにふれて頭をもたげてくる。この葛藤はビジネスにつきものである。 人間の心の中には「私」の心と「公」の心の両方が共存している。そして、人間の脳も「私」の脳と「公」の脳が共存している。脳外科医の篠浦伸禎氏は著書『人に向かわず天に向かえ』(小学館)にてこの「私」の脳、「公」の脳についてこのように述べている。 私の脳と公の脳 「脳の真ん中に、自己保身のための大脳辺縁系という動物的な脳があり、
そう思う根拠は、以下の2つです。 (1)開発された当初は高価で儲かっている大企業しか導入できない技術が、低コストになって農業に降りてくるまでには時間がかかる。 (2)農業現場では、まだ初期段階の未成熟のハイテクは役に立たない。高度に発展してからでないと使い物にならないことが多い。
だいたいは出る釘だったりして、いろいろ打たれたり、打たれても打たれていること自体に気づかないくらいに強靭だったり、まあいろいろなケースがありますが、ともかく仕事ができるやつ、常に創造的な人、どうやってもアイデアが枯渇しない人間といった人が一部に確かにいる。 逆に、そうでない人も、まあ普通にいるわけで、特に科学技術や基礎研究に関しては、違いは歴然としています。 ・・・いや、確かに歴然とした違いがあります。が、その違いが何か? と問われると、必ずしも明確に答えられるわけではない。 いったい両者の何が違うのか?「研究倫理」を考える文脈の延長で「優等生」と「地アタマ」というポイントに光を当てて考えてみたいと思います。 必ずしも優等生の地アタマが良いわけではない 東京大学で教えるようになってかれこれ16年、単に音楽家だけの生活であれば絶対に経験できなかったことがたくさんあります。その最たるものは「多
印象に残る表現ですが、いま改めてネットで検索してみるとあまり引っかかってこないので、ごく一部の表現でのみ使われている言葉なのだと思います。そういう前提で今回はここから話の口火を切りましょう。 この言葉は、バイオ系の大学院研究室で、博士課程の学生、あるいは学位を取った後の「ポスト・ドクトリアル・フェロー」(日本ではしばしばポスドクと呼ばれますが)の過酷な労働状況を表現するものだそうです。 私がかつて学んだ物理学科の環境とはおよそかけ離れたものなので、考えなくてはいけないな、と改めて思ったものです。 この「ポスドク」問題や「学歴ロンダリング」さらにはSTAP細胞詐欺の伏線となった学位取得の空洞化のメカニズムを考えてみたいと思います。 「優秀な人材」は残らない:大学院のヒューマン・フロー どこの大学どこの大学院のどの研究室でも、どうせ指導するなら優秀な学生に来てもらいたいと思う本音があると思いま
正直あまり書きたい話題ではないのですが、このところいくつかの事件を目にして一度は言及しないわけにはいかないと思い、今回の話題を記します。 3.11哲学熟議、3.16哲楽遊戯と、年度末のまとめ公開行事を終えたあと、時間の大半を海外の仕事に取られてこの連載に1週間タイムラグができてしまいました。申し訳ありません。 そんな間にも世間ではいろいろ事件があり、犯罪の報道なども紙面で目にします。そこで国立大学の博士号を持った人の犯罪とされるものもいくつか読みました。 内容は様々で、研究の不正から、よく分からないのですが教え子とどうこうとか、ここで触れる気にもならない内容のものまで、ともかく複数、いろいろ目にした「博士の犯罪」。 私が思ったのは「学歴ロンダリング」と「基礎学力」という問題で、以下では個別の事件やそのゴシップ的な内容には一切関わらず、研究機関の抱える構造的な問題だけに焦点を絞って、改善策を
「営業強化」や「サービス強化」と一言でいっても、顧客や市場の分析、ビジネスモデルやサービスシナリオの検討などなど・・・いろいろと深い検討が必要になりそうで、何から手を付けたらよいか悩んでしまう、という方は多いのではないでしょうか。 当連載でこれまでご紹介してきた具体的な取り組みとして、例えばサービスプロセスをモデル化すること(第11回「サービスプロセスのモデル化が組織のサービスを強くする」)や、「お客様」の定義を変えること(第12回「『お客様の定義』を変えると営業強化の具体策が見えてくる」)などはとても大切です。けれどもその前に、まずはどの辺りに営業やサービスの強化ポイントがあるのかを知りたい、という方も多いかもしれません。 そこで今回は、世の中のサービスをサービスサイエンスで徹底的に分類してみたいと思います。その分類によって、営業やサービスの意外な強化ポイントが見えてきます。 世の中にあ
これまでの義手の常識を覆す革命的な筋電義手が誕生しようとしている。それは従来の「人の手に似せる」という選択を捨て、敢えて人の手に似せず、一つの個性として使う人が自由に表現するという新たな選択肢を人々に提案するものだ。もしこの義手が世に送り出されたら、私たち人間の価値観は変わる、そう言っても過言ではない。その義手を付けたモデルがファッションショーのランウェイの上で、その義手を付けた俳優が舞台の上で、両手を広げ全身で表現する。その義手を付けたアイドルたちがコンサートで手を振って踊り、歌う。その時、私たちは自分たちが出せる最大量の歓声を彼らに送っているだろう。私たちは間違っても、彼らが“障害”を持っているなんて思えなくなる。 そんな未来が待っているとしたら、人々は何を思い、何をする? これからみなさんが目にするのは、そんな未来の“はじまり”の物語。
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