→紀伊國屋書店で購入 「写真から感じるものと、テキストが伝えるものの狭間で、宙づりになる」 サンダルを履いていたり、裸足だったり。洗い立てのワンピースだったり、汚れた穴だらけのシャツだったり。笑っていたり。穏やかだったり、緊張していたり、放心した様子だったり。それぞれの家の庭や近所で撮った母と子のポートレイトである。 親子の写真を見るとき、私たちの視線はふたりの類似性に注がれる。まだ特徴らしきものが浮かび上がっていない生まれたての赤ん坊の顔を見て、母と父のどちら似かと話したり、親戚の会合などで、だれとだれがそっくりかというような話が尽きないのを見てもそれはわかる。似ているかどうかは、だれにとっても心の琴線を揺らすテーマなのだ。 この写真集に載っている30組の親子についても、私たちはどこかに似ている部分を探しながら見ていくはずである。目がそっくりだとか、鼻の形が似ているとか、顔の輪郭が共通し