→紀伊國屋書店で購入 「見えること」と「見えないこと」のはざまに立つ もっと早くにこの写真集を取り上げたかったのに、時間がとれないまま11月になってしまった。もっと早くに、と思ったのは、東日本大地震の惨状を写した写真への世間の関心が、日に日に遠ざかっていくように感じられたからだったが、出てから2か月近く経ったいまこれを書こうとして、出版直後とは別の思考が自分のなかに延びているとも感じている。 B5サイズの横幅をカットした縦長の本だ。ページを捲ると上半分は白い余白で、文章だけがあり、このようにはじまる。 「何かが起こっている。いまここではない遠いところ、ほら懐かしいあの場所で、何かとてつもないことが起こっている。その様子がいま僕のいるところからでは、よく見えない」 「よくわからない」ではなく、「よく見えない」と書かかれていることに注視しよう。本書のテーマがここに集約されている。この世には「見