破戒と男色の仏教史 [著]松尾剛次[掲載]週刊朝日2008年12月26日号[評者]海野弘■中世には95人を犯した男色の僧もいたらしい 殺してはいけない、盗んではいけない、犯してはいけない、などの戒は、人間の当然守るべき条件のように思える。だが、誰でもいいから殺したかった、といった事件の前に、私たちはことばを失っている。 人間は戒めをつくって守ろうとするが、それを破ってしまう哀しい動物であるらしい。この本は、日本の仏教史を〈戒律〉を通して解明したものである。 中世の仏教などというと、私たちにあまり縁がないように思えるが、戒律を破ってしまう僧たちの姿によって、仏教史が、人間的で、なまなましい面を見せ、さまざまな問題を考えさせられる好著となっている。 破戒の中でも、特に人間と人間のつながりの微妙な問題に触れる〈男色〉は、仏教史ではあまりきちんと語られてこなかったが、やっと研究が進みつつある様子が
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