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ブックマーク / kaoriha.org (98)

  • 中里一日記: 戦後論壇の言説史

    戦後論壇の言説史 三度のメシより、とはいわないまでも、少なくとも吉野家の牛丼よりは「転向」問題が好きな私としては、清水幾太郎という名前はずっと気になっていた。 ふと今日ぐぐってみると、こんなページが見つかった。清水のことが相当詳しく書いてある。 で、感想――おんたこがここにも一匹。特に清水の戦略的概念としての「庶民」は、吉の「大衆」と同じ原型からできている。 しかしこれを見て安心した。清水→吉→大塚と、「わしの一族を見ろ、みんな小さくバカになりつつある」(『もののけ姫』)状態だ。だから現在、「このままでは、わしらはただの肉として、人間(笙野頼子)に狩られるようになるだろう」ということになっているわけだ。 清水は『日史広辞典』(山川出版社)に名を残していないという。吉も同様の運命をたどるだろう。なのに、三人のなかで一番小さな大塚が、笙野頼子のおかげで長く名をとどめるのだから、つくづく

  • 中里一日記: ナシーム・ニコラス・タレブ 『ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質』

    ナシーム・ニコラス・タレブ 『ブラック・スワン―不確実性とリスクの質』 ナシーム・ニコラス・タレブ 『ブラック・スワン―不確実性とリスクの質』を読んだ。 書にはいろいろなことが書いてあるが、とりわけカジノと現実の違いだけは全人類に知らせたいので、ここに書いておく。 カジノは客からショバ代を取るかわりに、イカサマなしでルールどおり遊ばせてくれる。カジノの外は、それとはまったく違う。イカサマの恐れが常にある。ルールは不透明だったり、運用が恣意的だったり、ある日突然変更されたりする。 「イカサマなし・ルールどおり」という仮定をカジノの外に持ち出しても、しばらくは何事もないだろう。しばらくは成功を収めるかもしれない。しかしある日、イカサマ師に遭遇して、有り金すべて巻き上げられる。たとえば、巨額の不正経理が発覚する。あるいは、ルールが変更される。たとえば、過払い金返還訴訟で借主に有利な最高裁判

  • 中里一日記: 技官を出せ

    技官を出せ 科学鑑定はときどき発狂する。歴史的にはドレフュス事件の筆跡鑑定が有名だ。このときは鑑定者が再審の法廷で狂気を露呈したので、ドラマチックな見ものになったらしい。 最近の日では、一昔前の科学鑑定が発狂していた。足利事件と飯塚事件のことだ。飯塚事件ではDNA鑑定だけでなく、「微繊維」(当時の報道の表現)なるものも登場した。 足利事件では、DNA鑑定を行った技官を再審に引っ張り出そうとしているらしい。ドレフュス事件の再現が見られるか(大穴)、あるいは公安式のやり方をして証人を出さないか(命)、はたまた謎の自殺を遂げるか(対抗)、注目していきたい。 一番燃える展開は、発足直後の民主党政権が「証人尋問に応じるように」と口出しし、公安式に逃げる予定だったのを逃げられなくなって謎の自殺、というところか。この程度のことなら政権交代に期待してもいいだろう。

    synonymous
    synonymous 2009/08/27
    足利事件では、DNA鑑定を行った技官を再審に引っ張り出そうとしているらしい。ドレフュス事件の再現が見られるか(大穴)、あるいは公安式のやり方をして証人を出さないか(本命)、はたまた謎の自殺を遂げるか(対抗
  • 中里一日記: 図

     中里一日記 2009年04月23日 図 こつえーキャラが泥酔して「ぱんつはいてなくて何が悪い」とわめいている図が頭から離れない。 Share on Tumblr Posted by hajime at 2009年04月23日 20:35 Comments Post a comment Name: Email Address: Remember personal info? YesNo Comments:

    synonymous
    synonymous 2009/04/24
    「こつえーキャラが泥酔して「ぱんつはいてなくて何が悪い」とわめいている図が頭から離れない。」
  • 中里一日記: 記憶

    記憶 全人類に読ませたいので、とりあえずここに書く。R・デーケン『フロイト先生のウソ』(文春文庫)197-198ページより。 最初の調査は、一九八六年のスペースシャトル・チャレンジャー爆発事故の翌日におこなわれた。約一〇〇名の被験者に、事故のニュースをどんな状況で聞いたかを書面で答えてもらった。回答は、七項目の質問(「そのとき、どこにいましたか」、「誰といましたか」、「そのニュースを何で知りましたか」など)に答える形でおこなわれた。数年後、コンタクトが取れた被験者(約半数)に再度同じ質問リストに答えてもらった。最初の調査のときと答えがい違う項目があった人には、暗示や誘導尋問や助言によって正しい記憶を呼び覚まそうとした。 その結果は、映画「トータル・リコール」(アーノルド・シュワルツェネッガー扮する主人公が、架空の冒険の記憶を植え付けられる)を彷彿とさせるものだった。まず、回答者の四分の三

    synonymous
    synonymous 2009/04/14
    「生き生きした記憶は、それが正しいことの兆候ではなく、間違っていることの兆候でさえない。」
  • 中里一日記: 私がドリャーおじさんだ

    私がドリャーおじさんだ のたうちまわるほど感動した! 『アートの仕事』(平凡社)120~121ページより。 都築 最後に、僕が毎回、レクチャーの最後に見せてるヴィデオがあるので、これを見てください。関西の長寿番組『探偵ナイトスクープ』という番組で昔、放映されたものです。北陸に東尋坊という景勝地があって、すごい崖で、自殺の名所でもあるんだけど、そこに名物のおじさんがいて崖から飛び降りるんですよ。見たことある人もいると思いますが、ここでまた感慨を新たにしていただきたい。 (ヴィデオを見る。ドリャーおじさんが、「ドリャー!」と叫びながら、何度も崖から飛び降りる姿を映す。最後に、「なぜ、飛び込むのか?」と聞かれ、「前は健康のため、とか言ってましたけど、やっぱり、キザな言い方ですけど、男のロマンですね」と語る) 都築 僕はこれ、もう100回は見てるんですけど、見るたびに、頭が下がるんですよ。すごいと

    synonymous
    synonymous 2009/03/22
    『ライダージャンプやドリャーおじさんの飛び込みは、人間存在の根底にある不条理が立ち現れてきた姿なのだ。不条理の世界を衝撃的に突きつけてくるその姿、そこにドリャーおじさんの感動があるのだ。』
  • 中里一日記: ライダージャンプ

    ライダージャンプ もしかすると都市伝説かもしれないが、かつてこんな話を聞いたことがある。 東南アジアでは昔、昭和時代の仮面ライダーのことを「殺人テレビ」と呼んでいた。なぜかというと、子供たちがライダージャンプの真似をして死傷する事故が多発したからだ、と。 規制ばやりの昨今なら、たちまち「子供が真似するようなライダージャンプは禁止せよ」ということになるだろうし、またそうなったからといって別に特撮番組がひどく困ることもないだろう。カメラが撮るべきものは無限にあり、そのうち百や二百を禁じられたところで屁でもない。 しかし私がライダージャンプから汲み取る教訓はそこではない。「読者はヤバい」――これが私にとっての教訓だ。 読者は、作者の命じるままに泣いたり笑ったりする従順な部下ではない。部下どころか敵兵士であり、それも、作者の狙いをくじくべく神出鬼没の奇襲攻撃を繰り返す、優秀なゲリラ兵だ。読者はゲリ

  • 中里一日記: 嫌儲は正しい?

    嫌儲は正しい? 加藤典洋『日の無思想』(平凡社)を読んだ。254~255ページから: 僕もまた、あの社会的な考え方というのが、嫌いだったのです。いまも嫌いです。弱い人を助けましょう、という考え方が、「違う」と思うのです。 むろん僕は古代ギリシャ人ではありませんから、ただ弱い人間は強くなるべきだ、弱い人間に同情することは彼を侮蔑することになると、ただちには思いません。そうではなく、いま、「弱い人を助けましょう」というような言い方で語られることが、もう一度解体されて、そうではない言い方で語られ、聞かれるようにならない限り、ここにいわれようとする人間の願いは、普遍的なものにならないだろうと思うのです。 ではどうすれば普遍的になるか、という問いを提起し、ある程度まで答えたのが書である。 著者の答えは、私情・私利私欲にもとづく公共性の再建である。 言論は、飲んだりったりセックスしたりと同じく、

    synonymous
    synonymous 2009/01/19
    『私情・私利私欲にもとづく言論が飛び交い、しかもそのような言論こそが社会を支えている状態、それが著者の目指す公共性である。』
  • 中里一日記: 奇跡はなかった

    奇跡はなかった 携帯電話のソフトウェア開発現場に入った人はみな、この世に生まれてきたことを後悔するという。 なぜそんなことになったのか。どこかでボタンを掛け間違ったのか。あるいは、物理法則のように避けがたいことなのか。 この問題について考えるうえでの手がかりを、iPhoneは提供してくれている。 アップル、iPhone最新アップデートで「3G接続が向上」と主張――一部ユーザーからは「問題は解決していない」との声も パケットは使い放題、電池はろくすっぽ持たなくてOK、JavaもFlashも抜き、等々、普通の端末には許されないことばかりの夢のような条件で作られた端末であるにもかかわらず、このありさまだ。やはり、携帯電話のソフトウェア開発には、なにか避けがたい破滅の種が仕込まれているという気がする。

    synonymous
    synonymous 2008/08/22
    『普通の端末には許されないことばかりの夢のような条件で作られた端末であるにもかかわらず、このありさまだ。やはり、携帯電話のソフトウェア開発には、なにか避けがたい破滅の種が仕込まれているという気がする』
  • 中里一日記: つまらない歴史教科書をつくる会

    つまらない歴史教科書をつくる会 唐沢俊一のガセビア 唐沢俊一のガセビアその2 唐沢俊一のガセビアその3 「新しい歴史教科書をつくる会」もようやく死に体になってきた。元スターリニストの組織力はあの程度らしい。 連中の誰かが、「昔の左翼の歴史教科書には物語的な気迫があって、そこは美点だった」と懐かしんでいたのを、どこかで読んだ。それを読んで私は深く納得した。その主張の当否に、ではない。昔の左翼の歴史教科書など読んだことがないので、その主張が正しいかどうか私には知るよしもない。 私が納得したのは、「だからお前はダメなんだ」ということだ。 「QWERTY配列という十字架を人類に背負わせたのは、20世紀初頭のアメリカのタイプライター・トラストなんだよ。トラストというのはね(後略)」 「秋葉原は昔はアキハノハラやアキバハラと読まれていたかもしれない。どの読み方が正式なのかもわからないし、そもそも正式な

    synonymous
    synonymous 2008/07/14
    『説明がつくだけまだマシなほうで、なにもかもが「わからない」で終わる話など、歴史でなければ許されない。しかしこれこそが教育に値する歴史だ。』
  • 中里一日記: お役所の都合≠社会正義

  • 中里一日記

     中里一日記 2017年12月11日 Bloggerに移転しました Bloggerに移転しました。 Share on Tumblr Posted by hajime at 10:56 [メニューに戻る] 2017年12月 Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 Links Search Archives Recent Entries Syndicate this site (XML) Powered by Movable Type 2.661

    synonymous
    synonymous 2008/05/24
    賢人とはこのような姿を持って現れる。ソ連のような極限社会を考察しながら、ヒステリックになった日本社会に必要な提言をなすことができる人。
  • 中里一日記: 祭り要員と仕事人

    祭り要員と仕事人 以前、「日ユニセフ協会のタコ踊りはおそらく問題ではない。彼らはしょせん現実の政治経済から遊離した存在にすぎない」と予想した。 幸い的中したが、的中したこと自体には意味はない。間違った筋道で予想しても、まぐれで当たることはある。重要なのは、結果が出たことにより後知恵という道具が使えるようになったことだ。私の予想の筋道を、後知恵という道具で批判してみていただきたい。「なにをわかりきったことを」という程度のものだろう。 私は人より優れた判断力を備えているわけではない。問題なのはむしろ、「どうして人は判断力をなくすのか」のほうだ。 判断力をなくす――いわゆる「祭り」だ。 人間性請願 一応リンクしたが一瞥の値打ちもない。理性のある人間なら、ナントカ水(マイナスイオン水、深層水、酸素水、等々)と同レベルのありきたりなトンデモに1秒でも費やしたりしないだろう。 「祭り」という名のもと

    synonymous
    synonymous 2008/05/23
    『トンデモ屋対策として必要なのは...自分自身や、自分の利害関係者(この場合は政治家)の判断力を保ち高めること』『粘着を取り戻そう。仕事人の足を引っ張ろう。この世界を、既得権益の外へと運び出そう』
  • 中里一日記: ナシーム・ニコラス・タレブ『まぐれ』(ダイヤモンド社)

    ナシーム・ニコラス・タレブ『まぐれ』(ダイヤモンド社) ナシーム・ニコラス・タレブ『まぐれ』(ダイヤモンド社)を読んだ。 これは、私が最近十年間に読んだのなかで、一番役に立つだ。全人類に書を強く勧める。 書は、運不運に翻弄される人間の感情と認知について述べている。 著者はベテランの金融トレーダーであり、人間がいかにして運不運に翻弄されるかを(自分自身も含めて)よく観察している。また著者は行動経済学の専門家でもあり、人間の非合理性の特徴を、科学の言葉で把握している。そしてもちろん、ベテラントレーダーの強烈な個性がある。 とはいえ書は論文ではなくエッセイなので、著者の専門外で気になった点がいくつかある。 つくりものの歴史について説明するとき、エセ思想家の始祖にどうしても触れずにはいられない。ヘーゲルだ。ヘーゲルは、パリ左岸のおしゃれなカフェや、現実の世界からとてもうまい具合に隔離して

    synonymous
    synonymous 2008/05/07
    『法律や司法は、係争を解決するための仕組みであり、時として真実よりも公正のほうを重んじる。』
  • 中里一日記: 最速のプログラミング言語

    最速のプログラミング言語 モーターレースは馬鹿げた行為だ。特にフォーミュラカーの阿呆らしさときたら大したものだ。 フォーミュラカーのレースは、車両のトータルな性能など追求しない。経済性はもちろんのこと、サーキットを速く安全に回ることさえ追求しない。たとえば「大馬力のエンジン」という見世物を維持するために、空気抵抗を大きくするレギュレーション(タイヤのカウリング禁止など)を山ほど盛り込んでいる。 ……で、それが何か? すべてのスポーツやゲームは馬鹿げている。人がスポーツやゲームに熱中するのは、それが有用だからではなく、楽しく美しいからだ。レギュレーションが多少おかしくても、F1は楽しく美しい。2007年のサーキット最速のカードライバーはライコネンで、最速のコンストラクターはフェラーリだ。「レギュレーションがおかしい」と言ってみたところで、この認識は覆せない。それに、フェラーリがサーキット最速

    synonymous
    synonymous 2008/04/25
    『最速のプログラマと最速のプログラミング言語を決めるイベントが求められているのではないか?』
  • 中里一日記: 虚無と犯罪

    虚無と犯罪 山口県光市の母子殺害事件について。 あの被告人の言葉には、虚無を感じる。特に有名なのは、「無期はほぼキマリでして、7年そこそこで地上にひょっこり芽を出す」だろう。 「芽を出す」。この表現の暗さは形容しがたい。「シャバに戻る」ではなく「地上に芽を出す」。自分は地上に属する人間ではないのだと、暗に語っている。故郷のような「ここに戻りたい」と願う場所がないのだと、それも失ったのではなく最初からないのだと、暗に語っている。 あまり注目はされていないが、これも虚無を感じさせる言葉が新たに報道された。 「死刑もやむを得ないと思う?」と問われて、「はい。僕は死刑存置主義者ですから」 法廷闘争のありさまからして、被告人は文字どおりの死に物狂いで死刑を免れようとしているのかと思っていた。が、この発言である。死に物狂いの人間の言うことではない。絶望や諦念でもない。無関心、というべきだろう。 自分が

    synonymous
    synonymous 2008/04/24
    『しかし考えてみれば、出所が「ひょっこり芽を出す」ようなことである人間が殺されたところで、いったいなにを失うというのか。「ひょっこり芽を出」せなくなっても、ああそう、という程度のものだろう。』
  • 中里一日記: 子供の人権年表

    子供の人権年表 2008年 男児の裸が放送禁止になる 2015年 着衣の児童の撮影にあたっては警察の許可が必要になる。2等親以内の親族は例外として適用されない 2020年 上の制限を親族にも適用拡大。児童ポルノ画像の供給源が主に親であるため 2030年 映画『ホーム・アローン』が事実上放送禁止に。児童が多く登場する映画はペドフィリア向けとみられるようになった 2040年 児童の外出時にチャドルを着せることが一般的になる 2050年 児童のチャドル着用が法制化される

    synonymous
    synonymous 2008/04/11
    『2050年 児童のチャドル着用が法制化される』子供の人権を言い訳にして時代が逆行する危険性。
  • 中里一日記: 悪の敵≠善の味方

    悪の敵≠善の味方 ブッシュ大統領が「悪の枢軸」というレトリックを使ったとき、私はすかさず「善の連合」という言葉を思いついた。 「善の連合」。被害妄想が昂じてイラクを破壊したあの馬鹿の国は、おそらくこの連合の一員ではないだろう。 教訓――「自分は悪の敵だ」と主張する輩は疑ってかかれ。敵の敵は味方ではない。 悪の敵主義者が好んでとりあげるネタは、以下の3つだ。 ・異教徒 ・子供 ・未開人 「異教徒がアルカイダに感染する!」「子供が有害情報に感染する!」「未開人が共産主義に感染する!」。これが悪の敵主義の決まり文句だ。無力で善良で愛すべきだが言葉の通じない隣人がいて、その隣人を守るために悪を倒さなければならない、でなければ悪に感染した隣人が我々を襲うだろう――という構図を彼らは描く。 この構図のなかには、愛も理想もない。守るべきものとしてネタにされている当の異教徒・子供・未開人が共感できるような

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    synonymous 2008/04/10
    『「自分は悪の敵だ」と主張する輩は疑ってかかれ。敵の敵は味方ではない。』
  • 中里一日記: 検閲済みの表の言論 vs 野放しの地下の言論

    検閲済みの表の言論 vs 野放しの地下の言論 ロバート・ダーントン『革命前夜の地下出版』(岩波書店)を読んだ。フランス革命への道は地下出版が舗装した、という話である。 アンシャン・レジームのもとでは出版は、政府の検閲を経てギルド的な組織により印刷・流通される「表」の出版と、そうした表の機構の外にある地下出版に分かれていた。 このような二分割体制のもとでは、地下出版は体制憎悪の培養器になる。「表」で既得権益にありつけなかった連中が地下出版に集まり、アンシャン・レジームの既得権益を満喫している連中を攻撃するからだ。 政府が地下出版への締め付けを強めると、体制への攻撃はいっそう激しくなる。なぜなら締め付けが緩いうちは、地下出版といっても海賊版などのローリスク・ローリターンな商売が多くを占める。締め付けが強まると、地下出版業者はハイリスク・ハイリターンの領域へと追いやられ、真正面から体制を攻撃する

    synonymous
    synonymous 2008/03/13
    『人類が検閲の悪を悟るまでに数世紀を要した。検閲がひとつの例にすぎないことを――言論の分割が悪であることを悟るまでに、あと何世紀かかるのだろう。』
  • 中里一日記: 自己責任教は合成の誤謬

    自己責任教は合成の誤謬 近頃ネットで流行るもの、「自己責任教」について。 自己責任教について知りたければ、私の日記など読まずに笙野頼子を読め、と言いたいところだが、つまらないものはつまらないがゆえに必要とされる面もあるので、必要に応じてみることにする。 あなたがある日、「自分の暮らしをもっと豊かにしたい」と思ったとしよう。そのとき黙って「自分が貧乏なのは政府のせいだ」ということにして、そのまま何もしなければ、あなたの暮らしは何も変わらない。黙って座っているだけの人間が、願いをかなえるはずがない。 願いをかなえたければ行動すべし――これは妥当である(命題A)。 あなたは行動を決心したとしよう。自分の願いをかなえるためには、政府に働きかけるのと、雇い主に働きかけるのと、どちらが効率がいいか。後者である。 もっとも効率のよい行動を取るべし――これも妥当である(命題B)。 もし全国民が、命題A・B

    synonymous
    synonymous 2008/03/03
    『その誤謬がどれほど巨大で動かしがたくても、「妥当だ、受け入れろ」などと言い張ったりしないこと。』香織派先生が注目されていてうれしい。