「SE一筋でやってきた人はねぇ、リタイアすると家庭や地域に居場所がないんだよ」 あるITサービス会社の社長がしみじみと話すのを、聞いたことがある。そりゃ、そうだろう。若い頃から馬車馬のように働き、コンピュータの傍で何日も留まり込むのも日常茶飯事。不本意ながらも家庭を顧みず、地域の行事にも参加せず、数十年が過ぎた。客観的事実として、居場所がなくて当たり前である。さて、どうするのか。 そう言えば、来年は2007年である。企業の情報システムを中心になって支えてきた団塊世代のSEが退職していく「2007年問題」が始まる年だ。この2007年問題は、当初騒がれたほど深刻ではないが、顧みなくて済むほどヤワな問題ではない。2007年問題をファンファーレに日本の労働人口が急速に減少していく中で、SEの仕事、特にITサービス業界の仕事を敬遠する若者も急増中だ。日本全体、あるいは他の産業と比べ、事態ははるかに深