国立劇場の再整備事業が行き詰まっている。建て替えのために閉場して半年がたったが、事業者さえ決まっておらず、再開場時期は見通せない。 歌舞伎や文楽、日本舞踊などの伝統芸能を保存、継承する場として1966年に開場した。79年には隣接して国立演芸場もできた。 老朽化した劇場は当初、大規模改修される予定だった。 だが、2020年に政府のプロジェクトチームがまとめた再整備計画で、文化観光拠点としての集客機能が重視された。民間の資金やノウハウを活用するPFI方式を採用し、ホテルやレストランなど収益施設も併設される。 背景にあるのが、政府の成長戦略の一環として、文化政策が保護から活用重視に転換したことだ。17年に成立した文化芸術基本法では、文化と観光、まちづくり、産業との連携推進が示された。 しかし、計画は思うように進んでいない。29年度の再開場を目指し、これまで入札を2回行ったが不調に終わった。劇場を