・悼む人 第140回直木賞受賞作。 『おくりびと』×『千の風になって』×2くらいの感動。 命の問題をまっすぐに考える傑作。 「わたしは彼に親友のことを話しました。思い出すかぎりのことを伝えました。わたしが話し終えたところで、「いまのお話を胸に、悼ませていただきます」と、彼は先ほどと同じ姿勢で左膝をつき、右手を宙に挙げ、左手を地面すれすれに下ろして、それぞれの場所を流れている風を自分の胸に運ぶようにしてから、目を閉じました。」 新聞の訃報記事や雑誌の事件特集や旅先での会話で聞いた死者の最期の場所を訪ね、その人が生前に誰を愛し、誰に愛され、そして誰から感謝されていたかを調べて歩く男が主人公。彼の目的はこの世にかけがえのない存在として故人がいたことを自分の胸にしっかりと刻むこと。携帯した何冊ものノートには、悼んだ人、これから悼む人のデータがびっしりと書き込まれている。 やがてネットの掲示板ではこ