「半導体素材の韓国への輸出規制」については誤解だらけ。写真は韓国半導体製造大手のSKハイニックス(写真:ロイター/アフロ) なぜ、相手が韓国になると日本の報道は歪んでしまうのだろう。もっと冷静に事実を報道して欲しいものだ。 今回の「韓国に対する輸出規制」に関しては、メディアは『半導体材料を“事実上の禁輸”』『対韓輸出規制を発動』などと、勇ましく報道している。それと同時に、記事では、『自由貿易を掲げてきた日本へ各国から批判が集まる懸念もある』『各国に恣意的なルール変更ともとられかねない』といった指摘もしている。 果たしてそうだろうか。 私は以前、経済産業省で貿易管理の責任者だった。その経験を踏まえれば、こうした誤解に基づく報道には首をかしげてしまう。こう指摘すると、経産省の代弁、もしくは擁護ととられるかもしれないが、それを恐れずに、正確な理解の一助になることを願ってあえてコメントしたい。 以
木村 尚敬(きむら・なおのり) 経営共創基盤(IGPI)パートナー、 IGPI上海執行董事。 慶應義塾大学経済学部卒業。英レスター大学経営大学院修士、英ランカスター大学経営大学院修士、米ハーバードビジネススクールAMP。ベンチャー企業の経営、日本NCRなどを経て2007年同社に参画。近著『ダークサイド・スキル』は発売から4カ月で5万部に達する話題書に。 実はダークサイドスキルは当社、経営共創基盤の社内用語です。当社では20~30代のコンサルタントが、クライアントの課題解決のために戦略を立案・提案します。戦略立案には「財務会計に精通する」「効果的なプレゼンができる」「論理的思考力がある」といったスキルが必須で、これを当社では「ブライトサイドスキル」と呼んでいます。 でも、それさえあればいいものではない。時には親子ほど年が離れた相手先の経営陣を納得させ、行動に移してもらうためには、人を動かす力
そんな次世代技術の開発で注目を集めているのが、東京大学発ベンチャーのAgIC(エージック)だ。既に電気を通す「銀ナノインク」を使った印刷技術を実用化しており、現在は用途開発に力を注いでいる。銀ナノインクは家庭用のプリンターでも使え、誰でも簡単に電子回路を印刷できる。 「紙の組成を変えたら面白いかもしれない」「今度はプラスチックに近い紙で試してみましょう」 エージック共同創業者の杉本雅明取締役は毎週のように高級紙の専門商社、竹尾(東京都千代田区)を訪れる。これまでに100種類以上の紙を使って回路を試し刷りしてきた。「デザインと技術の融合」をコンセプトに、様々な商品づくりに取り組んでいる。 「エンジニアはインクが染み込まない安定した紙を求めがち。ただ、インクが染み込む紙を使えば、もしかしたら想像を超えた面白い商品が生まれるかもしれない。回路と紙、互いの技術を単に足し合わせるのではなく、掛け算に
コンサルティング会社、ベイン・アンド・カンパニーによる調査分析の結果、持続的成長をなしとげる会社は、事業を軌道に乗せた野心的で大胆な創業者の態度と行動を保持していることが分かっています。このマインドをベイン・アンド・カンパニーは、「創業目線」と呼び、『創業メンタリティ』という書籍にまとめました。創業目線は、成長途上の新興企業が規模と資金力で勝る既存企業と競争するとき優位に立つカギであり、「オーナーマインド」「革新志向」「現場へのこだわり」という3つの要素を含んでいます。 今回は、創業メンタリティを持って、創業後に急速に成長した日本の有名企業のその後について、図表などを交えながら考察してみます。誰もがその名を知るような偉大な創業者によって設立された日本企業がこれまで世界に躍進していきましたが、そうした有名企業も創業メンタリティを維持し高い成長を持続するのは簡単ではないことが分かります。 「ど
4月7日、セブン&アイ・ホールディングスの2016年2月期決算を説明する記者会見の会場は、異様な雰囲気に包まれていた。 かねて、同社の鈴木敏文会長兼CEO(最高経営責任者、83歳)は、傘下でコンビニエンスストア事業を手掛けるセブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長兼COO(最高執行責任者、58歳)に対し、退任を求めてきた。4月5日に開かれた指名・報酬委員会では、井阪社長の退任と新たな人事案について、鈴木会長とセブン&アイの村田紀敏社長兼COO(最高執行責任者、72歳)、社外取締役2人の計4人が、5時間に渡る議論を重ねた。それでも結論は出ず、7日の取締役会で、井阪社長の退任を含めた人事案が諮られることになった。 結果は、賛成7票、反対6票、白票が2。取締役15人の過半の賛成を得ることができず、鈴木会長の提案した人事案は否決された。これを受けて、鈴木会長は退任を決意したという。午後4時半から開
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