前回書いた「はじめての海外文学」の翌日に、出町座で行われたトークショーで、海外文学の魅力とは? という話になり、「遠さ」と「近さ」ではないかという意見が出た。 つまり、海を越えた「遠い」国の物語であるのに、その心情はおどろくほど「近い」というよろこびこそが、大きな魅力だと。たしかにそのとおりだと思う。 ただ、ふだんから海外文学を読んでいないと、まずその「遠さ」が往々にして障害になる。実際のところ、地名などの設定にもなじみがあり、登場人物が身近に感じられ、より共感しやすい日本の小説を好むひとの方が圧倒的に多いのも事実である。 ここから、『82年のキム・ジヨン』の大ヒットに代表される韓国小説のブームともいえる現状を考えると、この「遠さ」と「近さ」のバランスが絶妙なのではないかという気がする。 遠い海外の話であるにもかかわらず、アメリカやヨーロッパとは異なり、まるでパラレルワールドのように似た状
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