落ち着いた議論で合意形成を目指す「熟議」が、日本から失われつつある。相手の攻撃に明け暮れる国会、短期間に大きくぶれる民意……。「熟議の国会」を訴える仙谷由人・民主党政調会長代行、討論の要素を加えた新たな世論調査を提唱する曽根泰教・慶応大大学院教授に処方箋を聞いた。【立会人・尾中香尚里政治部副部長、写真・岩下幸一郎】 ◆民意と国会が補完関係に--民主党政調会長代行・仙谷由人氏 ◆政策論議も国民が責任を--慶応大大学院教授・曽根泰教氏 ◇「ねじれ国会」の現実 立会人 仙谷さんは野党時代から「熟議の民主主義」を訴えてきましたが、現実の国会は熟議にはほど遠い状況です。 仙谷氏 ベルリンの壁崩壊やソ連解体を受け、政治は「資本主義対社会主義」という「体制選択」から「政策競争」の時代に移りました。与野党が議会で議論を詰め、合意を練り上げることが政治の本質だと考えます。 しかし日本は「議会は政府追及の場」