アマの眼を失ったプロは一流にはなれない (田中 秀征=福山大学教授) 将棋の羽生善治プロが名人に復位した。加えて通算5期獲得したことにより、“十九世永世名人”を名乗る資格を得た。 羽生は将棋界のスーパースターだ。実力、実績、人気すべてで他を圧倒している。タイトル(名人、王将、王位、棋聖、竜王、棋王、王座の7つ)の通算獲得数は69。すべてのタイトルを平均10回も獲得していることになる。 なぜか縁が薄かった名人位 羽生は羽生五段とか羽生八段とか呼ばれたことがプロとしてデビューした頃を除けばほとんどない。なぜなら、プロ棋士はタイトルを保持している時は「羽生王座」のようにタイトル名で呼ばれる。羽生は一貫してタイトルを持ち続けている。それどころか、ほとんど毎年複数のタイトルを獲得しているから、羽生五冠とか羽生二冠とか呼ばれてきた。 その羽生がなぜか名人位には縁が薄かった。他のタイトルでは