『神のみぞ知るセカイ』を読むといつも違和感があった。認識のズレというか、自分の中で「この漫画は要するにこういう作品なんだ」と納得する寸前でいつも行き止まってしまうもどかしさがあった。それは、「ギャルゲーの達人が現実の女の子と恋愛する」という要約で表される『神のみぞ知るセカイ』と、僕の中でかくあるべしと作り上げた『神のみぞ知るセカイ』と、サンデーで連載されている現実の『神のみぞ知るセカイ』の三者がそれぞれ違っていて、全体としての『神のみ』像がなんともボヤけたものになってしまっていたからだ。 『神のみ』の主人公・桂木桂馬は「ギャルゲーの神」と呼ばれ、あらゆるゲームの女の子たちを攻略してきた達人である。現実を「クソゲー」と公言してはばからず、どんなときでも携帯ゲーム機でギャルゲーをプレイし続ける、孤高の人である。送られてきたメールをクリックしたことによって、半ば強制的に地獄と「契約」を結ばされ、