「人間が資本」と言って人間中心の事業経営を生涯実践し続けた出光佐三は、「人間がしっかりしておれば、金は自然に集まる」「卒業証書を捨てよ」と従業員たちに言い聞かせたという。 「学問や知識に囚われ、理論の奴隷となってはならぬ。金に囚われ、金の奴隷となってはならぬ。人としての尊さはどこにあるのかを見極めよ」 出光の口癖だった。 学歴によって人の地位が決定する現代の制度は生ける屍を作る制度だと、出光は学歴社会の世の中に警鐘を鳴らした。 地位や名声、財産などのすべてから丸裸になったとき、はじめて本来の人間力が現れるのだ。 (150806第109回)