「天皇はなぜ万世一系なのか」という問いかけは魅力的だし、新書表紙の半分を覆うほど広い帯にある「世襲か、実力主義か」というキャッチフレーズも本書のガイドライン的に添えられたものだろう。結論からいうと、若干だが、ほぉと驚く意外な答えが書かれてはいる。そういう考えもあるのかな、というものだ。同時に多少がっかりもする。おそらくこの問いに魅せられた人に納得がいくというものでもないだろう。もちろん納得のいく答えがあったとして、それがどれほど真理を射貫いているかは別として。 帯にはさらに「皇室、貴族、武士、高級官僚の出世と人事から、「日本権力構造」最大の謎に迫る」とあり、これも補助的なフレーズなのだが、すでに天皇の問題が日本権力構造という一般構造に吸着されていることが伺われ、どうやら本書のテーマは先の問いに焦点化していないか、散漫なのではないかという印象を与えてしまう。読後の感想としても、日本史に興味の