ノンフィクション専門の書評サイトHONZを開始する前の2008年、たまたま書店店頭で見つけた本書を手にとった。そして強い衝撃を受けた。日本人にこのような素晴らしい、出版史に残るような科学読み物が書ける日が来るとは思わなかった。このような本こそ世の中に紹介しなければならないという義務感を感じた。それまで個人ブログを利用して簡単な書評を書いていたのだが、組織化して専門のサイトを立ち上げる覚悟を決めた。それが現在のHONZである。素晴らしい本は、新たな挑戦を生み出す力を持っているのである。もちろん本書はHONZに常設している「成毛眞オールタイム・ベスト10」の筆頭である。 科学読み物は伝統的にイギリス人作家が上等だ。19世紀の大英帝国は世界中から文物と情報を集め、観察し、分類し、科学した。その結果として、彼らの末裔たるイギリスのサイエンス・ライターたちはつねに物事をグローバルに捉えるという視点を
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