「エジプトはナイルの賜物」というように、人類文明は4つの大河流域で誕生したといわれてきました。それに対して、新たな文明の発祥地として「高地文明」を提唱したのが、『高地文明―「もう一つの四大文明」の発見』です。本書を刊行した山本紀夫先生にお話を伺いました。 ――「高地文明」とは、どういうところにある、どんな文明でしょうか。 山本:まず申し上げておきますが、「高地文明」ということばは山本の造語で、まだ一般社会でも研究の世界でも知られておりません。一部の雑誌や専門書では書きましたが、広く一般にむけて発信するのは、今回の中公新書が初めてです。 私の考えでは、高地文明は地球上の熱帯圏のなかで、熱帯高地と呼ばれる地域に誕生し、発展した文明のことです。 すなわち、熱帯のなかで標高2000m以上から5000mくらいまでの高地(熱帯高地)で栄えたアステカやテオティワカン(以上メキシコ)、アンデスのティワナク