米大手証券会社の経営破綻が世界的な金融・経済ショックにつながった「リーマン・ショック」から、15日でちょうど1年になる。ドルLIBORが過去最低を更新し続けるなど、金融市場は表面的には安定しているものの、問題の根源は未解決のままであり、景気・金融システムの先行きについては不確実性が強い。 2008年9月に大きなショックが世界経済に加わったことで、何が変わり、何が変わらなかったのか。この機会に整理しておきたい。 【「リーマン・ショック」で変わったこと】 (1)世界経済の需要レベルの急激かつ大幅な下方シフトと、需給ギャップの拡大 1990年代前半から、借金(および借金を美徳とする文化)と住宅・株式のキャピタルゲインを元手にして膨らんでいった米国人の過剰消費は、住宅バブルの崩壊を契機にして、徐々に解消過程に入っていた。「リーマン・ショック」は、そうした流れを一気に加速させるきっかけを提供すること