アレクシス・チプラス氏は今年1月にギリシャの首相に選ばれる直前に、有権者にこんな誓いを立てていた。「月曜日には国民の屈辱の日々が終わる。外国からの命令とはおさらばだ」 国民の屈辱を強調したこの発言をギリシャの突飛さとして片づける気になった人は、世界のほかの国々にも目を向けるべきだ。 筆者がこの1年、最も頻繁に取り上げてきた4つの国際問題――ロシア、ユーロ圏、中東、東アジア――を見渡せば、国家的、あるいは文化的な屈辱という表現がこの4つすべてを結びつけるテーマになっていることが分かる。 傷つけられた国家のプライド チプラス氏が首相として最初に取った行動の1つは、第2次大戦でナチスに処刑されたギリシャのレジスタンスの戦士たちの墓碑を訪れることだった。これは国としてのプライドに基づく行動だ。有権者に過去の英雄を思い出してもらうと同時に、ユーロ圏の債権者たちを主導したドイツにちょっとした意趣返しを