ブックマーク / www.anlyznews.com (93)

  • 池田信夫が理解できない価格硬直性と金利非負制約

    経済評論家は自分が何を勘違いしているのか、永久に気付かないのかも知れない。池田信夫が、京都大学教授の藤井聡氏の主張への批判で、デフレで貨幣錯覚は起こっておらず、予想されたデフレだから経済活動に中立だと主張している(BLOGOS)。しかし、貨幣錯覚が原因かは分からないが価格硬直性はあるし、金利の非負制約を考えるとデフレの弊害が無いとは言えない。 1. 価格硬直性 まずは価格調整速度が十分では無いことを示そう。家賃と住宅地価格の乖離を見て欲しいのだが、バブル崩壊後に趨勢に乖離が発生している。住宅価格は住宅地価格と連動している。価格調整速度が十分なら、この二つは連動するはずだ。なお、家賃は消費支出の2割を占める(関連記事:家賃に見る価格の下方硬直性)。 2. 金利の非負制約 デフレの問題は貨幣錯覚だけではない。インフレ予測が正しくマイナス名目金利を予測したとしても名目金利はマイナスにならないし、

    池田信夫が理解できない価格硬直性と金利非負制約
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    tdam 2012/06/08
    "予想されたデフレだから経済活動に中立"→"価格硬直性や金利非負制約の問題が起きていないとは言えない""デフレの問題が何かを考察した上で主張の裏づけをとって来ないので、議論に耐えられる根拠を示せていない"
  • 池田信夫『デフレを巡る3つの神話』を批判する

    経済評論家の池田信夫氏が「デフレを巡る3つの神話 日銀をいじめたらデフレから脱却できるのか」と言うコラムを書いているので、簡単に批判してみよう。 予想通りだが、【神話1】と【神話3】は経済学的なバックグラウンドを失った議論になっており、奇妙な言説になっている。評論するのは自由だが、クルッグマンのIt’s Baaack!論文を良く読んでからの方が、もっとまともな文章を書けると言わざるを得ない。 【神話1】不況の原因はデフレである 池田信夫氏はデフレが不況を引き起こさないと主張している。しかし、これは大きな留保条件がつく。つまり、(1)自然利子率が十分に高く、(2)賃金や価格の調整速度が十分に迅速な時のみ成立するからだ。 理論的には考えられる負の自然利子率の可能性(平田(2012))については言及していないし、慶應大学の小幡績氏が紹介した東大の渡辺努氏の研究では、価格が緩慢にしか下がらないこと

    池田信夫『デフレを巡る3つの神話』を批判する
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    tdam 2012/04/26
    理想状態を仮定して生き延びる古い経済学を信奉し、新学説を学習しない池田氏への批判。ただ、"デフレの原因は通貨供給が少ないことだ"をMB/GDP比から筆者は肯定しているが、直近の通貨供給不足はどう考えるか?
  • 日銀はクルッグマンの勧める政策をやったの?

    橋下大阪市長と経済評論家の池田信夫氏の間で、インフレ目標政策とリフレーション政策(量的緩和)についての混乱が続いている。 クルッグマンが主張しているのは、どちらかと言えばインフレ目標政策だ。単純なリフレと混同したままでは、日銀がクルッグマンが主張するような政策を既に行っていると言う頓珍漢な指摘が出てきてしまう。 クルッグマン主張と池田信夫氏の批判が噛みあっていないのを確認してみよう。 1. クルッグマンの主張は14年前からインフレ予測の引き上げ まずは橋下氏の発言だが「ノーベル経済学賞のクルーグマン氏は量的緩和論。中央銀行、もっと量的緩和やれよと」と、クルッグマンが量的緩和に効果があると認めているかのように主張している。これは間違いで、クルッグマンは1998年から14年間も、名目金利が限界までゼロに近い流動性の罠にはまっているときは量的緩和は無効で、インフレ予測を引き上げないといけないと言

    日銀はクルッグマンの勧める政策をやったの?
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    tdam 2012/04/25
    継続的量的緩和(含、インタゲ)→インフレ予測上昇・長期化→実質金利低下→為替下落・国内投資増なら効果ないわけない。日銀の規模・期間不足緩和と早すぎる引締=マッチポンプ的金融政策否定≠クルッグマン主張。
  • 家賃に見る価格の下方硬直性

    デフレの問題は大きく二つあり、実質金利の高止まりと、価格の調整速度の低下だと考えられる。物価が下がっているのに後者が問題になるとは考えられない人もいるようだが、価格の調整が速い家電製品のような財がある一方で、賃金等の調整は遅いと思われている。そして意外に価格が下落しないモノを見つけた。家賃だ。 1986年はバブル前の円高不況で1987年ぐらいから地価や株価が上昇しはじめたのだが、1992年に土地バブルが弾けた後も2003年ぐらいまで家賃は上昇し続けている。土地は借家やアパートなどの主要な投入要素の一つだが、11年ぐらいラグがあるわけだ。そして地価は80年代の水準に下がったのに、家賃は高止まりを続けている。 教科書的なミクロ経済学の説明では、地価が下がって家賃が高止まりしているのであれば、土地を買収して大家を始める人が出てくるので、家賃が下がるか土地があがるかして、両者の価格推移は安定的にな

    家賃に見る価格の下方硬直性
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    tdam 2012/04/21
    デフレ・恐慌経済について…「名目金利の非負制約」、「名目賃金の下方硬直性」に加えて、これは「月決め料金の下方硬直性」というべきか。
  • 金融緩和している?3月のマネタリーベースの減少について: ニュースの社会科学的な裏側 2012年4月13日金曜日

    2012年3月のマネタリーベースの伸びが、前年比-0.2%となったので、日銀が金融引締めを行っていると思っている人が多いらしいが、緩和傾向の維持で間違いないので細部を確認したい。 マネタリーベースは日銀行券発行高、貨幣流通高、日銀当座預金の三つで構成されている。それぞれの変化は+0.9%、+0.1%、-3.6%となっており、日銀当座預金の減少がマネタリーベースの減少要因だ。ただし、これは金融機関が余剰資金を日銀に預けているもので、経済に流通しているお金ではない(日銀行調査統計局 - マネタリーベース(2012年3月))。 実際には、M2は3.0%、M3は2.6%とマネーサプライは増加している(日銀行調査統計局 - マネーストック速報(2012年3月))。マネタリーベースが減って、マネーサプライが増えているという事は、貨幣乗数が伸びているという事だ。恐らく東北の復興需要等の影響で、単純

    金融緩和している?3月のマネタリーベースの減少について: ニュースの社会科学的な裏側 2012年4月13日金曜日
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    tdam 2012/04/13
    「インフレ・ターゲティング政策」と「リフレーション政策」を分断して考える理由がわからない。"期待インフレ率を操作"するための、円安誘導効果(外貨および資源に対して円の下落を誘う)のある量的緩和なのに。
  • 所得再配分は経済成長につながる

    経済評論家は、所得再配分は経済成長につながらないと思い込んでいる事がある。2月20日の衆院予算委員会の「企業収益より所得再分配に軸足」と言う発言からは、枝野幸男経産相もそう思っているようだ。 これは経済成長を重視する資主義者と、所得再配分を重視する社会主義者の神学論争からもたらされたものだと思うが、経済学的にはそうとは言えない。むしろ一般的な経済学の文脈では、所得再配分は経済成長につながると考えられている。教育投資の面から分析した代表的な論文を簡単に紹介したい。 1. 所得格差と教育機会 教育機会を考えると、所得再配分政策無しでは格差が広がり、それが経済成長を押し留める可能性がある事は、昔から危惧されていた。それを世代間重複(OLG)モデルで理論的に説明したのがGalor and Zeira (1993)だ。 教育が労働者の所得を高め、かつ卒業するまで頑張らないと、教育が効果を生まないと

    所得再配分は経済成長につながる
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    tdam 2012/03/11
    日本の場合、所得「逆」分配をまずは止めるところから。デフレ脱却・マイルドインフレとそれに伴う失業率低下で、分厚い中流の復活と世代間格差の軽減が達成されるだろう。
  • 日銀がリフレーション政策を嫌がる理由

    リフレーション政策に期待する人々から見ると、なぜ日銀がリフレ政策を行わないかは疑問らしい。日銀総裁の知性を批判する人々さえ見かけなくも無い。 しかし、リフレ政策を推進する高橋洋一嘉悦大学教授や飯田泰之駒澤大学准教授は、リフレ政策に対して、日銀行が何を考えているかを説明する事は無いようだ。逆に池田信夫らリフレ政策に反対する経済評論家が日銀の関心事項を詳細に説明しているかと言うと、そうでもない。 日銀が公式にその理由を発表する事が無いからではあるが、議論の整理のために簡単に考察してみよう。誤解が無いように確認しておくが、インフレ・ターゲティングではなくて、リフレーション政策をどう考えているかだ。 1. 流動性の罠にあると量的緩和に効果は無い 効果が無いと見ているのは確かだ。日銀、つまり白川総裁は人口高齢化による低成長が期待インフレ率を押し下げており、流動性の罠にはまっていると考えている。過去

    日銀がリフレーション政策を嫌がる理由
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    tdam 2012/01/26
    "日銀はインフレを止めるために、市中にある日銀券を回収する必要がある。日銀券を回収するには、国債を売るしかない" なアホな。利上げ・預金準備率引き上げはどこに?"見合い資産"は円安なら米国債が活きるはず。
  • 消費税は本当に逆進的か ─ 逆進的です

    大阪大学の大竹文雄氏と小原美紀氏が、2005年とだいぶ前になのだが、「消費税は当に逆進的か」と言う記事を出している。 消費税が逆進的になる理由は、高所得者は低所得者よりも消費性向が低いと言う明白な傾向から言えるものだで、それに疑義を投げかけており興味深い。しかし、奇妙な話になっている。 1. 生涯消費性向で考えると、消費税に逆進性は無い? 大竹氏と小原氏は、現役中における両者の消費性向の差を認めつつも、引退後の年金生活における消費も加味して考えるべきだと主張している。つまり、ライフサイクル仮説によると、老後においては貯蓄を切り崩して消費を行うので、高所得者と低所得者の生涯消費性向の差は、現役時代の消費性向の差ほど大きく無いそうだ。高所得者と低所得者が貯蓄を使い切って死ぬなら、消費税負担率は生涯所得に関係なく一定になる。大竹氏・小原氏の試算では、むしろ累進課税になっている。 2. 金持ちと

    消費税は本当に逆進的か ─ 逆進的です
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    tdam 2011/09/23
    "金持ちと貧乏人は、生涯消費性向でも明確に差がある" 結局ここが、消費税やトリクルダウン理論のアキレス腱だわな。財務省のウソ理論、出来レース報告書で庶民の生活と日本経済が破壊されたらかなわん。
  • クルッグマンの英語が理解できない池田信夫

    ノーベル賞経済学者のクルッグマンがNew York TimesのコラムでModern Monetary Theory(以下、MMT)を批判しているのだが、それを経済学者を自称する池田信夫氏が「クルーグマン対リフレ派」で激しく誤解しているので、間違いを指摘しておきたい。 MMT派は現代では政府が貨幣の裏づけになっているので、幾ら財政赤字を出しても貨幣を発行してもインフレーションにはならないとし、拡張的な財政政策や通貨供給量の拡大を主張している。しかしクルッグマンは、流動性の罠にはまっている現在では拡張的財政政策と通貨供給量は支持できるものの、通常の経済ではハイパーインフレーションになるとMMT派の論理を批判している。なお大半のリフレ派は流動性の罠にある事を前提にリフレ政策を主張しており、MMT派とは異なる。 池田信夫氏は「クルーグマンは最近、毎日のようにリフレ派(MMT)を攻撃している」と延

    クルッグマンの英語が理解できない池田信夫
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    tdam 2011/08/27
    "池田信夫氏は「クルーグマンは最近、毎日のようにリフレ派(MMT)を攻撃している」と延べ、MMTとリフレ派が同じものだと誤解" 確かにそう解釈できる。
  • 電気代が人頭税? ─ 池田信夫と藤沢数希が経済学音痴を露呈する

    人頭税は全ての国民1人につき一定額を課す税金の事だ。経済学者を自称する池田信夫氏と、人気ブロガーの藤沢数希氏が電気代が人頭税だと言っている。 税金では無いのは、電気が現代生活に不可欠と言う事で同等だと理解を示そう。しかし、電気代は重量課金だし、基料金も契約に応じて変化し、家族構成とも関係ないので、定義上は人頭税とはとても言えない。そもそも電力消費における家庭の割合は約29%だ。そして実質的にも、電気代は人頭税とは言えない。 1. 金持ちは電気を多く消費する 貧乏人も金持ちも同じ額の電気代を払っているって? ─ そんなわけがない。 経済学の入門テキストには、電気は必需品だから需要の所得弾力性が低いと書いてある。確かに所得が倍になっても、電気を倍使うわけではないであろう(追記(2012/05/31 22:10):推定では大雑把に1.28倍程度)。しかし、金持ちは光熱費のかかる広い家に住み、電

    電気代が人頭税? ─ 池田信夫と藤沢数希が経済学音痴を露呈する
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    tdam 2011/07/04
    本論とズレれるが、電気料金値上げ分の所得に占める割合が低所得世帯ほど高い=高累進性という意味では消費税増税にそっくり。藤沢氏は消費税増税を「人頭税」と批判していたか?という疑問が。
  • 日本は資本主義が通用しない国?藤沢数希の勘違い

    ブログ金融日誌の藤沢数希氏が、日は資主義が通用しない国だと村上ファンド代表の村上世彰氏の有罪確定を批判している(アゴラ)。 日の資市場の有り方への批判はともかく、同事件に関しては欧米型の法規制が適切に運用された結果のように思えるので批判したい。また、東京地裁の判決理由は覆っており、高裁はより慎重に、最高裁はより明確に規制を適用しているため、藤沢批判は勘違いに思える。 金融日誌には以下のような注意書きがあるのだが、ウェブ上ではそこそこの著名人なので、あえて藤沢数希氏の指摘を批判してみたい。 1. 資市場には情報の公平性が求められる 藤沢氏を批判する前に、インサイダー取引が、なぜ違法なのかを確認したい。 資市場は売買ゲームの側面があり、勝った負けたはプレイヤーの責任である一方で、プレイヤーが持つ情報を等しくするという非現実的とも言える指針がある。一部の関係者が特別な情報で勝ち続ける

    日本は資本主義が通用しない国?藤沢数希の勘違い
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    tdam 2011/06/10
    東電処理や他電力へのトバッチリぶりを見るに、「日本は資本主義が通用しない国」はある程度正しい。しかしインサイダー事件はむしろ資本主義ゆえの犯罪。無関係なものを自説の補強に使うと逆に信用されなくなる。
  • 原発は最も廉価な発電方法

    経済・環境ジャーナリストの石井孝明氏の原発は経済性に優れていると主張するエントリーに、原発のコストは低くなく、むしろ太陽光発電を推進すべきだと反論するエントリをスクリプト言語Perlの日語モジュールの整備で著名な小飼弾氏が書いている。小飼弾氏は70年代、80年代に作成された原発の設置許可申請書の発電原価を元に議論しており、2011年の現在には不適切となっているので、問題点をまとめておきたい。 1. 最新設備で比較すると、原発は最も廉価な発電方法 石井氏の指摘が概ね妥当であるが、原発は最も廉価な発電方法であることを再確認しよう。電気事業連合会(2004)『モデル試算による各電源の発電コスト比較』によれば、割引率3%、運転年数40年、設備稼働率70%で評価すると、原発が最も発電原価が安い。なお、モデル・プラントは比較的新しい設備となっているため、最新設備での比較と考えてよい。また、後述するが

    原発は最も廉価な発電方法
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    tdam 2011/04/02
    "原発は最も廉価な発電方法" 「これまでの」計算上はそうでも、それに加えて事故による保障のコストも加算しないといけない。廉価を追求するあまりコストを減らしすぎたことが今回の事故につながったとも言える。
  • コンクリートを修復する細菌が開発される

    致命的な構造欠陥を引き起こすコンクリートの亀裂を修復する目的で、遺伝子改造された枯草菌(こそうきん)(Bacillus subtilis)が、英ニューカッスル大学で開発された。iGem主催の合成生物学のコンテストに応募された制作物で、BacillaFillaと命名されている(2010.igem.org)。 以下は修復過程の顕微鏡写真(io9)だが、ちょっとづつ埋まっているように見える。 BacillaFillaは、コンクリートの亀裂に深く侵攻し、炭酸カルシウム(CaCO3)とレバンスクラーゼ(levansucrase)の接着剤を生成し、細長いフィラメント状になる。炭酸カルシウムは、コンクリートと同じ割合になるため、理想的な充填材になるそうだ。フィラメント状のBacillaFillaは、繊維強化コンクリートの化繊と同じ伸張力があり、炭酸カルシウムを強化する。レバンスクラーゼは炭酸カルシウムと

    コンクリートを修復する細菌が開発される
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    tdam 2010/11/18
    非常に面白いバイオミネラリゼーションの利用法。ただ小さなクラックには効果がありそうだが、大きなクラックには生成速度の関係で使用できなさそう。また、菌株の漏れ出しによる意図しない場所の結晶化もありそう。