ブックマーク / econ101.jp (64)

  • アンドルー・ポター「ウクライナのロシア国内への越境侵攻は『プーチンのメンツ潰し』や『停戦交渉のための戦果獲得』などではない。負けつつあるウクライナからの欧米諸国への警鐘だ」(2024年8月19日)

    ウクライナ政府によるロシアへの越境侵攻はプーチンのメンツを潰した、との指摘がある。この侵攻は、ウクライナが敗戦の危機に瀕していることについての西側諸国への警鐘でもある。 ウクライナのクルスク侵攻の真意とは? ウクライナ地上部隊が国境を超えてロシアに奇襲侵攻してから2週間が経過した。その間に、ウクライナロシア領を1,000平方キロメートル奪った。ウクライナ軍は、ロシア兵を数千人殺害し、数百人以上を捕虜とし、装備を大量に破壊し、週末にはセイム川にかかる橋を2破壊し、さらに別の橋を破損させ、ロシア軍を孤立させ、補給と増援を遮断した。 しかし、これだけ成功を収めているにもかかわらず、ウクライナがこの侵攻で何を達成しようとしているのかについては、誰も(アメリカもイギリスもドイツも、そしてむろんロシアも)あまり理解できていないようだ。 この戦争で、ロシア領土が敵対勢力に占領されたのは今回が初めてで

    アンドルー・ポター「ウクライナのロシア国内への越境侵攻は『プーチンのメンツ潰し』や『停戦交渉のための戦果獲得』などではない。負けつつあるウクライナからの欧米諸国への警鐘だ」(2024年8月19日)
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    tdam 2024/08/22
  • ハンナ・リッチー「環境に良いとされている生活習慣(ビニール・プラスチックの代わりの紙袋、地産地消)は実際には環境に良くないことが多い」(2022年9月5日)

    効率的な環境保護活動に罪悪感を感じるのはなぜだろう? 私の作ったグラフは、環境保護についてのポスターに使われるかもしれないが、私自身は環境保護活動のポスターガールには絶対にならない。 私が事を作っているのを見れば、環境破壊しているようにしか見えないだろう。ほぼ電子レンジしか使わない。調理にはほとんど時間をかけない。調理に10分以上かかる事は〔環境保護の観点からは〕べる価値はない。私はほぼパッケージ化されたものをべている。アンゴラ産アボガド、メキシコ産バナナなどだ。地元で作られた材はほとんどない。地元産かどうかについて気にして、ラベルをチェックする必要もない。 これは「持続可能」と思われている行為と正反対だ。我々の脳裏にある「環境に優しい事」のイメージは、地元の市場からの仕入れ、有害な化学物質を使わない有機(オーガニック)農場での生産、プラスティック梱包よりも紙バッグでの持ち帰り

    ハンナ・リッチー「環境に良いとされている生活習慣(ビニール・プラスチックの代わりの紙袋、地産地消)は実際には環境に良くないことが多い」(2022年9月5日)
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    tdam 2024/08/17
  • アダム・トゥーズ「円キャリートレードと世界の為替・株式市場の混乱」(2024年8月5日)

    ここ数日、金融市場での目を見張るような動きが世界中で(アメリカ、日、新興国市場の間で跳ね回って)波及している。 一連の劇的な動きはすでに先週から始まっている。これは、広大な世界金融の強固な基盤とされているアメリカの国債市場が動いたことだ。アメリカの恐怖指数(VIX)は、コロナショックの2020年と〔リーマンショックの〕2008年の水準まで急上昇した! 恐怖指数(VIX)は現時点で65で、金曜日の終値の23から上昇している。この数値が維持されれば、1日の上昇率としては史上最大となり、終値としては過去最高の部類の一つとなる。インプライド・ボラティリティ [1]訳注:オプション取引での将来ボラティリティの予測値 が今回と同水準になったのは、2008年10月・11月と、2020年3月だ。 これは大げさに見えるかもしれないが、潜んでいる不確実性の水準を如実に示している。そして、月曜の日市場の衝撃

    アダム・トゥーズ「円キャリートレードと世界の為替・株式市場の混乱」(2024年8月5日)
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    tdam 2024/08/08
    円を低利で借りドルで投資する円キャリー取引(金利と為替の二重リスク含む)で、実体経済以上に円安が進行していた事実の解説。逆に言えばここ数年の輸出やインバウンドの好調はボーナスステージだったということ。
  • ノア・スミス「移民流入の害は,いっこうに実証に現れない」(2024年5月10日)

    移民受け入れを支持する人間として,ぼくは懐疑的な人や批判的な人に耳を貸すようにつとめてる.どんな国にも,自らがのぞむならどんな人間でも招き入れる権利がある――あるいは,入国を拒否する権利がある.移民の流入で自分たちの文化が変わってしまうのを人々が心配しているなら,それは完璧に許容されるべき態度だ. ただ,それと同時に,移民流入制限派の人たちは移民受け入れにともなう経済的な害悪をあれこれとたくさん主張している――賃金低下,政府財政への負担,などなど.それでいて,そういう主張はずっと証拠と矛盾しつづけている. たとえば,多くの証拠から,移民流入は――低技能移民の流入ですら――現地生まれの人たちの賃金や雇用の見通しに悪影響を及ぼしていないことが明らかになっている〔日語版記事〕.最近出た Michael Clemens & Ethan Lewis の論文を見てみると,この研究はとても「きれい」な

    ノア・スミス「移民流入の害は,いっこうに実証に現れない」(2024年5月10日)
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    tdam 2024/05/13
    移民流入による影響を観測する範囲を意図的に狭めているのか、統計的に未調査なのか知らないが、犯罪増加や治安悪化、文化的衝突という深刻な問題を取り扱わない以上、説得力がない「評論家」の文章にしか見えない。
  • ピーター・ターチン「人工知能はカウンター・エリートを量産し、社会を不安定化させるだろう」(2023年11月20日)

    ChatGPTをはじめとする生成AI人工知能)の目覚ましい成功は、機械の台頭が労働者にどのような影響をもたらし、最終的に我々の社会をどう変えるのかについて沸騰していた議論にさらに火をくべた。破滅派は、ロボットが人間に取って代わり、人類文明を滅ぼすだろうと予測している。楽観派は、成長に伴う苦しみは避けられないが、乗り越えれば、新たなる知的機械によって我々社会はもっと良くなるだろうと主張している。なんだかだいっても、人類は、過去の技術革命を特に悲惨な結果とせずに、うまく消化してきている。 しかし、歴史から学ぶのは、簡単ではない。AIによる革命は、我々社会に新たな予期せぬストレスをもたらすだろう。現在、技術のシフトのもたらす勝者と敗者について議論されているが、これは重要な側面を欠いている。技術シフト後に社会・政治的な混乱がどれだけ生じるかも重要だ。 この原理の極端な例として、ある特殊な労働者階

    ピーター・ターチン「人工知能はカウンター・エリートを量産し、社会を不安定化させるだろう」(2023年11月20日)
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    tdam 2023/11/26
  • ノア・スミス「うん,もちろん TikTok は禁止すべきだよ」(2023年3月20日)

    武器に転用された相互依存を減らす トランプが試みて失敗したことを,いまバイデンと議会が試みている:中国企業が所有している動画アプリ TikTok の強制的な禁止だ.親会社の ByteDance が同アプリをアメリカ企業に売却しないかぎり,アメリカ国内での運営を強制的に停止しようと,バイデンたちは試みている.これには理由が2つある.そして,そのどちらも,「アメリカの子供たちの注意力が下がるのを防ぎましょう」とか「アメリカ企業を競争から救いましょう」といった話と関係がない. TikTok禁止に動いている理由は次の点にある: TikTokアメリカ人ユーザーたちに関するデータを中国共産党に送信していて, しかもTikTok はおそらく中国寄りの検閲を受けており,アメリカ人ユーザーたちが中国共産党のさまざまな目標を支持するように誘導しようと試みている. ごく簡潔に,それぞれの理由について話そう.

    ノア・スミス「うん,もちろん TikTok は禁止すべきだよ」(2023年3月20日)
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    tdam 2023/09/01
  • ノア・スミス「実は日本は様変わりしてるよ」(2023年1月23日)

    By 稲ノ歯鯨 – Own work, CC BY-SA 4.0 2020年代は1990年代とはちがう BBC の東京特派員ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズが書いた,日についてのエッセイが広く話題になってる〔日語版〕.ぼくも読んでみたけれど,ひどくいらいらしてしまった.このベテランジャーナリストは――2012年から日に暮らして働いたすえに――日の印象をまとめている.彼によれば,日は停滞して硬直した国で,「ここに来て10年経って,日のありようにもなじみ,次の点を受け入れるにいたった.日は,変化しそうにない.」 でも,日に暮らしたことがあって,2011年以降も年に1ヶ月間ほどここに来て過ごすのを繰り返してる人物として,そして,日経済についてかなりの分量を書いてきた人物として言わせてもらえば,日はまちがいなく様変わりしてる.すごく目につきやすくて重要なところがあれこれ

    ノア・スミス「実は日本は様変わりしてるよ」(2023年1月23日)
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    tdam 2023/02/02
  • ジョセフ・ヒース「ウォーク(正義に目覚めた一部の左派)は戦術・信条において裸の王様・女王様である:リベラリズムの皮を被った反自由主義」(2021年6月23日)

    ウォーク政治活動を理解する上で最も重要なのは、これは伝統的なタイプの「反自由主義」とは異なっており、「反自由主義的リベラリズム」の一種であると考えた方がよいということだ。 Joseph Heath: Woke tactics are as important as woke beliefs Woke language hides illiberal tactics in liberal aims Posted by Joseph Heath on June 23, 2021 ここ数年、進歩主義を装った反自由主義が世を覆いつつあったが、ついにアメリカリベラルたちは団結して行動を起こし始めた。リベラルたちは、「ウォーク」〔woke、社会問題に対して目覚めた(=wake)人々を指す〕の政治活動やイデオロギー的影響力の拡散を阻むために、いくつかの組織を創設したのである。〔ウォークと戦う〕リベラル

    ジョセフ・ヒース「ウォーク(正義に目覚めた一部の左派)は戦術・信条において裸の王様・女王様である:リベラリズムの皮を被った反自由主義」(2021年6月23日)
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    tdam 2021/11/27
    似たような話をここでもよく聞くよな。
  • マーク・ソーマ 「失業に伴う経済的・社会的コスト」(2006年1月12日)/「失業は主観的な幸福度にどのような影響を及ぼすか?」(2013年12月16日)

    マーク・ソーマ 「失業に伴う経済的・社会的コスト」(2006年1月12日)/「失業は主観的な幸福度にどのような影響を及ぼすか?」(2013年12月16日) ●Mark Thoma, “The Economic and Social Costs of Unemployment”(Economist’s View, January 12, 2006) 経済学者が失業について大学の講義だとかで教える機会があると、失業に伴うコストは経済的な損失だけに限られないと用心深く付け加えるものだ。失業というかたちで資源が利用されずにいると、GDPの減少というかたちで経済的な損失が生じることになるが、失業にはそれ以外にも考慮すべき人的・社会的なコストが伴うのだ。その格好の例が以下の図に示されている。ダラス連銀が発行しているEconomic Letter誌の論説 “Miracle to Malaise: Wha

    マーク・ソーマ 「失業に伴う経済的・社会的コスト」(2006年1月12日)/「失業は主観的な幸福度にどのような影響を及ぼすか?」(2013年12月16日)
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    tdam 2015/06/21
  • ポール・クルーグマン「苦しむ日本がとるべき道筋」

    Paul Krugman “The Right Course for a Troubled Japan,” Krugman & Co., November 26, 2014. [“Structural Deformity,” The Conscience of a Liberal, November 20, 2014.] 苦しむ日がとるべき道筋 by ポール・クルーグマン Stephen Crowley/The New York Times Syndicate 日の安倍晋三首相が消費税増税の延期を模索してるのは,正しい.延期はいい経済政策だし,ぼくにとってはかなり新鮮な経験でもある――国のリーダーと会って,正しい政策の主張をして,その相手がまさにそのとおりにやってるんだもの.(もちろん,同じ主張をしてた人はぼく以外にたくさんいる.) ただ,懐疑の声もたくさんある.全面的に正当な疑いだ:

    ポール・クルーグマン「苦しむ日本がとるべき道筋」
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    tdam 2014/11/29
  • ポール・クルーグマン「崩壊を待ちながら」

    Paul Krugman, “Still Waiting for the Collapse,” Krugman & Co., November 20, 2014. [“Rage of the Traders,” The Concience of a Liberal, November 13, 2014.] 崩壊を待ちながら by ポール・クルーグマン World Economic Forum/The New York Times Syndicate ぼくもバカな経済論にはずいぶんと慣れてるけど,それでもたまに,経済の卓見として出回ってる説の馬鹿さ加減がぼくの予想すら上回ってくれることがある. 政府統計にデッチアゲがあると確信してる「インフレの真実」論者の億万長者ポール・シンガーが,「イースト・ハンプトンの不動産をごらんなさい,ハイパーインフレーションが起きているではありませんか」なんてこと

    ポール・クルーグマン「崩壊を待ちながら」
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    tdam 2014/11/23
    インフレ亢進を警告することで金融引締めを誘発し、高実質金利とリセッションを謳歌したい人々が存在しても不思議ではない。問題は、その主張は理論や現実によって裏付けられているかどうか。残念ながら判断は困難。
  • ポール・クルーグマン「とにかくいま増税しちゃだめよ,日本さん」

    Paul Krugman, “Don’t Raise Taxes Just Yet, Japan,” Krugman & Co., November 14, 2014. [“Japan on the Brink,” The Conscience of a Liberal, November 4, 2014.] とにかくいま増税しちゃだめよ,日さん by ポール・クルーグマン Ko Sasaki/The New York Times Syndicate 現実の政策をめぐって1国をあげて論争になるとき――アメリカではそういう論争は起きていない.なにしろ,アメリカの右派は自分が「知ってる」ことがすべてで,証拠に目を向けることも間違いを認めることもないからだ――その意志決定は,中身の重要度を上回る意義をもつ.より広くその国が向かう方向をそうした政策が象徴しているからだ. さて,日では再度の消費

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    tdam 2014/11/15
  • ポール・クルーグマン「どんなコストを払ってでもインフレ妄執を広める人たち」

    Paul Krugman “Spreading Inflation Paranoia, No Matter the Cost,” Krugman & Co., October 24, 2014. [“Inflation Derp Abides,” The Conscience of a Liberal, October 17, 2014; “The Civility Whine,” The Conscience of a Liberal, October 18, 2014.] どんなコストを払ってでもインフレ妄執を広める人たち by ポール・クルーグマン KAL/The New York Times Syndicate 先日,ウェブサイト「ゼロ・ヘッジ」が読者に「必読のインタビュー」を案内していた.インタビューでは,投資家で評論家のジム・ロジャースが「我々はいまの紙幣発行と債務に手ひどい対

    ポール・クルーグマン「どんなコストを払ってでもインフレ妄執を広める人たち」
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    tdam 2014/10/26
  • ポール・クルーグマン「エネルギー消費を減らしたら経済成長が鈍るとはかぎらないよ」

    Paul Krugman, “Using Less Energy Doesn’t Have to Mean Less Growth,” Krugman & Co., October 17, 2014. [“Slow steaming and the supposed limits to growth,” The Conscience of a Liberal, October 7, 2014.] エネルギー消費を減らしたら経済成長が鈍るとはかぎらないよ by ポール・クルーグマン Luke Sharrett/The New York Times Syndicate どうやらぼくらはいま,ちょっとしたものを目撃してるみたいだ.大きく異なる行動目標をもった3つのグループが――反環境保護の保守主義者,反資主義の左翼の人たち,そして,自分たちは経済学者よりも利口だと思ってるハードサイエンスの科学

    ポール・クルーグマン「エネルギー消費を減らしたら経済成長が鈍るとはかぎらないよ」
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    tdam 2014/10/19
  • ポール・クルーグマン「ドルの美徳で罰を受けるのかい?」

    Paul Krugman “Punished for the Dollar’s Virtue?” Krugman & Co., October 20, 2014. [“Punished for the Dollar’s Virtue?” The Conscience of a Liberal, October 7, 2014.] ドルの美徳で罰を受けるのかい? by ポール・クルーグマン ジャレド・バーンスタインと意見が異なることは滅多にないし,彼が完全雇用・貿易赤字・準備通貨としてのドルの関連について書いた先日のブログポストも,大半については同意見だ.そうだね,アメリカの貿易赤字が長く続いてるのは完全雇用の達成にとって問題だし,「強いドル」政策じゃなくて「弱いドル」政策をとるべきだ. でも,ドルが準備通貨になってることって,問題の根っこなのかな? 準備通貨の地位は過大評価されてる現象だと

    ポール・クルーグマン「ドルの美徳で罰を受けるのかい?」
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    tdam 2014/10/14
    通貨高だと得をする人々はどの国にも一定数いるが、政府・中銀はマクロ経済全体を考えて経済政策運営を行わなければならない。利上げ・ドル高が便益<費用なら延期すべきで、バブル問題には別の政策対応で対処可能。
  • ポール・クルーグマン「保守派がまた空想のカナダに熱を上げてる」

    Paul Krugman, “Conservatives Revive the Canadian Fantasy,” Krugman & Co., October 3, 2014. [“Conservative Canadian Cockroach,” The Conscinece of a Liberal, September 21, 2014.] 保守派がまた空想のカナダに熱を上げてる by ポール・クルーグマン Ian Willms/The New York Times Syndicate ジョッシュ・バローが先日の『ニューヨークタイムズ』記事で語るところによると,保守派たちはまたしてもカナダをお手として称揚しているらしい.とくに,カナダが1990年代に経験したことを持ち出して,緊縮策はやっぱり拡張的なんだと主張しているんだって. ぼくに言わせると,こいつは「ゴキブリ」論の資格を満

    ポール・クルーグマン「保守派がまた空想のカナダに熱を上げてる」
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    tdam 2014/10/05
    "そこらじゅうの国がそろって通貨を切り下げて貿易黒字に動けるわけがない"が、通貨安競争の帰結は、貿易黒字になりやすい資源国家の通貨、または基軸通貨が高くなるはず。産油国に米ドル使用を止めさせないと(笑)。
  • スティーヴン・グレンヴィル 「量的緩和、貨幣の増刷、ヘリコプターマネー、そして財政ファイナンス」

    ●Stephen Grenville, “Helicopter money”(VOX, February 24, 2013) 財政ファイナンスとは具体的にはどのようなものなのだろうか? 論説では、しばしば同一視されがちな「貨幣の増刷」や量的緩和、財政ファイナンスの間の違いについて説明する。それに加えて、ターナー卿による「ヘリコプタードロップ」提案に伴う課題――民間銀行部門のバランスシートに生じる歪みならびに「中央銀行の独立性」を脅かす可能性――についても触れる。 金融政策(特に量的緩和)を巡る論議の中に混乱の種を持ち込んでいる2つの用語がある。それは「貨幣の増刷」と「ヘリコプターマネー」である(Sinn 2011)。 量的緩和≠貨幣の増刷 量的緩和を「貨幣の増刷」(輪転機を回してお金を刷ること)と同一視するのは不適切である。国民が保有する現金の量は現金需要(現金に対する需要)によって決定

    スティーヴン・グレンヴィル 「量的緩和、貨幣の増刷、ヘリコプターマネー、そして財政ファイナンス」
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    tdam 2014/09/30
  • ポール・クルーグマン「失業者を叩く世間知らずな保守派」

    Paul Krugman, “A Conservative Disdain for the Unemployed,” Krugman & Co., September 26, 2014. [“John Boehner’s Theory of the Leisure Class,” September 19, 2014; “Return of the Bums on Welfare,” September 20, 2014] 失業者を叩く世間知らずな保守派 by ポール・クルーグマン Doug Mills/The New York Times Syndicate 下院議長ジョン・ベイナーに言わせると,失業中のアメリカ人どもが仮病のサボリ野郎なのは実に明瞭で,はたらく気もサラサラなくて福祉にたかる怠け者なんだって:「おそらくはこの2年ほどの経済から生まれた考えなのでしょう,こんな言い分がありま

    ポール・クルーグマン「失業者を叩く世間知らずな保守派」
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    tdam 2014/09/28
    アメリカ以上に残念なのは、日本の右も左もデフレ容認の連中が、失業者の存在を無視・蔑視することよな。
  • ポール・クルーグマン「お金の真の意味とやらに惑わされて:金融政策無効論のおはなし」

    Paul Krugman, “Fixated on the True Meaning of Money,” Krugman & Co., September 19, 2014. [“Money in a Time of Zero,” The Conscience of a Liberal, September 3, 2014.] お金の真の意味とやらに惑わされて by ポール・クルーグマン CUMMINGS/The New York Times Syndicate ぼくが昔 MIT で教わったチャールズ・キンドルバーガーは,よくこう言ったものだ――国際通貨についてあんまり長く考え続けると,あたまがおかしくなっちゃうぞ.彼が言わんとしてたのは,ドルの国際的な役割についてだんだん強迫観念に駆られはじめて,それこそが世界で最重要なことだと思うようになっちゃうってこと――ほんとはドルの国際的役割な

    ポール・クルーグマン「お金の真の意味とやらに惑わされて:金融政策無効論のおはなし」
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    tdam 2014/09/20
    アベノミクスが消費増税によって失敗することになったら、ケインズ・リフレ含む主流経済学自体を否定する言説が、エコノミスト(笑)だけではなく政財界界隈からも雨後の筍のように出てくることは間違いないだろな。
  • ポール・クルーグマン「探しています:大量の「技能ギャップ」とやらはどこにある?」

    Paul Krugman, “Missing: A Massive ‘Skills Gap,’” Krugman & Co., September 12, 2014. [“The Beveridge That Refreshes,” September 5, 2014; “Simply Unacceptable,” September 5, 2014.] 探しています:大量の「技能ギャップ」とやらはどこにある? by ポール・クルーグマン John W. Adkisson/The New York Times Syndicate アメリカには大量の「技能ギャップ」がある,って主張がある.失業の多くは構造的なもので,ここに反映しているのは不適切な就労準備をしてしまっている労働力とかなんとかだ,なんて主張する人たちがいる.こうした主張の拠り所となっているのは,「空席になっている仕事ならたくさん

    ポール・クルーグマン「探しています:大量の「技能ギャップ」とやらはどこにある?」
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    tdam 2014/09/13
    大学が就職予備校ではないなら、技能ギャップは雇用下におけるトレーニング=「社内訓練」でしか埋められない。雇用回復、ひいてはワークシェアの根底にあるものは「誰しも最初は素人」という真理。無い袖は振れぬ。