50年前の食卓は今と比べると、はるかに質素なものだったと思います。一般家庭には、冷凍庫はもちろんのこと、冷蔵庫も今ほど普及はしていませんでしたから、暮らしの場からさほど離れていないところで生産されたものが、日々食卓に上っていたのでしょう。 現在では日本どころか世界中の食材が手に入り、とても豊かな食生活のように思えます。ところが、私たちが口にする野菜などは栄養価が大きく劣化しているのです。たとえば50年前と今のピーマンでは、ビタミンCを始め、各ビタミンの含有量がずいぶん少なくなっています(女子栄養大出版部『食品成分表』2訂~5訂より)。 なぜこのようになったかというと、昔はすべて堆肥で作物を作っていましたが、農薬や化学肥料によって土が疲弊していったからです。かつて農家には農耕用あるいは食用に豚や牛、鶏がいましたが、今ではほとんど見かけなくなっています。それらは村や土から離され、工場型の畜産に