ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (117)

  • これはハマスの罠なのか? - himaginary’s diary

    今回のハマスの蛮行は世界を震撼させたが、なぜそこまでの残虐行為を行ったかを考えると、イスラエルにガザ侵攻を余儀なくさせるためではないか、という仮説が一つ考えられる。そこで「Hamas trap」でぐぐってみると、同様の仮説を立てている記事に幾つか行き当たったので、引用してみる。 まずは、USAIDに在籍していたR. David Hardenによる10/11付けNYT論説記事からの引用。 Hamas knew that the attack on Saturday would give Mr. Netanyahu little choice but to retaliate with a ground invasion, and it knows that the Israel Defense Forces’ technology and military superiority would

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  • 米国は本当に第二次大戦の債務を成長で縮小したのか? - himaginary’s diary

    というNBER論文をローレンス・ボールらが上げている(H/T タイラー・コーエン)。原題は「Did the U.S. Really Grow Out of Its World War II Debt?」で、著者はJulien Acalin(ジョンズ・ホプキンズ大)、Laurence M. Ball(同)。 以下はungated版の結論部。 This paper investigates the factors behind the behavior of the U.S. debt/GDP ratio since 1946, both the large decline in the ratio from 1946 to 1974 and the large increase since then. We seek to decompose the movements of debt/GD

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  • 経済学は決着していない - himaginary’s diary

    と題したINET動画(原題は「Economics Isn't Settled」)で、「The History of Economic Thought Website*1」を創ったGoncalo Fonsecaが、同サイトを作成した動機と経済学史を学ぶことの重要性について語っている(H/T Mostly Ecoomics)。 最近、なぜ人文系の人は経済学を学ぶ際にまず経済学史を学ぼうとするのか、という話がツイッターの一角で話題になっていたが、期せずしてFonsecaはここでその一つの回答を提示しているように思われる。 以下はyoutube版の文字起こしからの引用。 Why is the history of economic thought important? Almost like asking why is economics important, I mean, economics,

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  • 開発援助における不正会計の検知 - himaginary’s diary

    という、現在日のネットで騒ぎになっている問題に照らすとタイムリーとも言えるNBER論文が上がっている(9月時点のWP)。原題は「Detecting Fraud in Development Aid」で、著者はJean Ensminger(カリフォルニア工科大)、Jetson Leder-Luis(ボストン大)。 以下はその要旨。 When organizations have limited accountability, antifraud measures, including auditing, often face barriers due to institutional resistance and practical difficulties on the ground. This is especially true in development aid, where a

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  • ハイブリッド在宅勤務の成果 - himaginary’s diary

    ブルームバーグも報じているが、表題のNBER論文をニコラス・ブルームらが上げている。原題は「How Hybrid Working From Home Works Out」で、著者はNicholas Bloom(スタンフォード大)、Ruobing Han(同)、James Liang(トリップドットコム)。 以下はその要旨。 Hybrid working from home (WFH), whereby employees work a mix of days at home and at work each week, has become dominant for graduate employees in the US. This paper evaluates a randomized control trial on 1612 engineers, marketing and fi

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  • 量的緩和が効く理由 - himaginary’s diary

    以前ここで紹介した論文の掲載が決まったとのことで、著者の一人のエガートソンがツイッターでスレッドを立てて同論文を解説している(H/T タイラー・コーエン)。 Bernanke famously quipped that “The problem with Quantitative Easing (QE) is that it works in practice but not in theory”. My paper with Bhattarai and Gafarov on how QE can work in theory is forthcoming in the Review of Economic Studies. A thread: First, on QE not working in theory: I think Bernanke had in mind QE2 and

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  • 機械学習は防犯に役立つのに十分なほど銃被害を予測できる - himaginary’s diary

    というややSF染みた*1NBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Machine Learning Can Predict Shooting Victimization Well Enough to Help Prevent It」で、著者はSara B. Heller(ミシガン大)、Benjamin Jakubowski(NYU)、Zubin Jelveh(メリーランド大)、Max Kapustin(コーネル大)。 以下はその要旨。 This paper shows that shootings are predictable enough to be preventable. Using arrest and victimization records for almost 644,000 people from the Chicago

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  • 誰が殺したフィリップス曲線? ある殺人ミステリー - himaginary’s diary

    というFRB論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Who Killed the Phillips Curve? A Murder Mystery」で、著者はFRBのDavid RatnerとJae Sim。 以下はその要旨。 Is the Phillips curve dead? If so, who killed it? Conventional wisdom has it that the sound monetary policy since the 1980s not only conquered the Great Inflation, but also buried the Phillips curve itself. This paper provides an alternative explanation: labor market policie

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  • マンキューのMMT論 - himaginary’s diary

    マンキューが昨年12月に「A Skeptic’s Guide to Modern Monetary Theory」という小論を書いている(H/T マンキューブログ)。以下はその概要。 自国通貨を発行している国は債務不履行になることはない、というMMTの主張については、以下の3点で異論がある: 債務を支払うために政府が発行する貨幣は、最終的には銀行システムの準備預金となる可能性が高い。現行の金融システムでは準備預金に付利を行っているため、政府はそうした準備預金に(FRB経由で)利子を支払う必要があり、結局のところ実質的には借金していることになる。貨幣が永久に準備預金の形に留まるとしても、利子は時間と共に累積していく。MMT支持者はその利子も貨幣の発行によって賄えば良いというかもしれないが、拡張し続けるマネタリーベースはさらなる問題を引き起こす。資産効果によって総需要が増え、最終的にはインフレ

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  • 現代貨幣理論の解釈 - himaginary’s diary

    のネット界隈では野口旭氏のニューズウィーク連載を始めとしてMMTに関する議論が続いているが、米国ではどうなっているのかとぐぐってみたところ、サンノゼ州立大のJeffrey Rogers HummelがMMTについて表題の4/1付けeconlib記事(原題は「Interpreting Modern Monetary Theory」)*1で詳細な批判を繰り広げていることに気付いた。以下にその概要をまとめてみる。 MMTの貨幣に対する基的な主張は特に新しくも現代的でもない。不換紙幣の発行によって政府支出が賄えるというのはすべての経済学者が知っていたことである。MMTも、以下の3つの条件のいずれかが満たされなければ大規模な政府支出によってインフレが生じることを認識している。 経済が顕著な失業を抱えている 政府が徴税力でインフレをコントロールする 銀行システムが何らかの方法で政府の金融拡張に対

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  • 分からない数学者が馬鹿なのか、分からせない数学者が悪いのか - himaginary’s diary

    5日エントリで2人のフィールズ賞受賞者のコメントを紹介したブログエントリには、もう一人、今年のフィールズ賞受賞者であるAkshay Venkateshもコメントしていた(H/T math_jinさんツイート)。ただ、その内容は「完全同意。(I couldn’t agree more.)」という簡潔なものである。しかし、これで3人のフィールズ賞学者がこのエントリにほぼ全面的な賛意を表したことになる。 では、そもそも元エントリには何が書かれていたのか? 以下に抜粋引用してみる。 This post is not about making epistemological claims about the truth or otherwise of Mochizuki’s arguments. To take an extreme example, if Mochizuki had carved

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  • 2人のフィールズ賞学者が望月論文に抱いた違和感 - himaginary’s diary

    今月初めにフィールズ賞を受賞したピーター・ショルツ*1が、京都大学の望月新一教授によるabc予想の証明に問題点を見つけた、という話をこちらのツイート経由で知った。ただ、ショルツのその指摘を望月氏は認めておらず、今年3月に京都で直接顔を合わせた際も議論はすれ違いに終わり、両者の意見は今のところ平行線を辿ったままだという。 なお、前記のツイートのリンクを辿っていくと(ネイチャー記事→Peter Woitというコロンビア大の数学者の7/17付けブログ記事→同氏の昨年12/16付けブログ記事(の追記))、匿名のシカゴ大教授のブログ*2「Persiflage」の昨年12/17付け記事へのコメントという形で、ショルツ自身の見解*3を読むことができる。この件(というか数学全般)について小生は完全な門外漢ではあるが、専門用語の訳をグーグルさんに頼りつつ、以下に紹介してみる。 Thanks for the

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  • ドイツ代表に東独出身者がほとんどいない理由 - himaginary’s diary

    ドイツW杯敗退の報を聞いて、少し前にMostly Economicsが取り上げていたこちらの記事を思い出した。著者はミドルベリー大学で言語学を教えるPer Urlaubで、今大会のドイツ代表に東独地域の出身者がトニ・クロース(Toni Kroos)しかいない背景を分析している。 In order to compete with international clubs from capitalist Western Europe that were able to purchase players from around the world, East German clubs invested in local scouting operations and youth academies, which identified and cultivated homegrown talent.

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  • マルクスの影響力を甦らせたもの - himaginary’s diary

    昨日(5月5日)の生誕200周年を受けて、マルクスに関する論考が数多く現れている。ピーター・シンガーは、Project Syndicate論説で、マルクス思想の質的な欠陥を以下のように指摘している。 Marx’s reputation was severely damaged by the atrocities committed by regimes that called themselves Marxist, although there is no evidence that Marx himself would have supported such crimes. But communism collapsed largely because, as practiced in the Soviet bloc and in China under Mao, it failed

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  • 経済学者がビッグデータに熱心でない理由 - himaginary’s diary

    BOEチーフエコノミストのアンドリュー・ホールデンが、ビッグデータをテーマに講演している(H/T Mostly Economics)。 その中で、ビッグデータに対する経済学者とデータサイエンティストの態度の違いについて以下のように述べている。 The first thing to say is that Big Data and data analytic techniques are not new. Nonetheless, over recent years they have become one of the most rapidly rising growth areas in academic and commercial circles. Over that period, data has become the new oil; data analytic techniq

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  • ZOZOTOWN経営陣の要望に応える欧米の左派政党 - himaginary’s diary

    「Brahmin Left」とピケティが名付けた層が所得格差縮小の障害になっている、という話が話題になっている。ProMarketで「なぜ民主主義が格差縮小できないか:インテリ左翼のせいだ(Why Democracy Fails to Reduce Inequality: Blame the Brahmin Left)」というそのままずばりのタイトルの記事でピケティの研究が紹介されているほか、ロドリックがProject Syndicate論説で以下のように説明している。 The French economist Thomas Piketty has recently documented an interesting transformation in the social base of left-wing parties. Until the late 1960s, the poor

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  • 減税と賃金の再説(少し難しい) - himaginary’s diary

    以前、法人減税がどの程度の賃上げにつながるかについてクルーグマンやマンキューやサマーズやファーマンやマリガンやデロングが議論を繰り広げていたが(cf. ここ、およびその後続記事)、クルーグマンが改めてその問題を表題の記事(原題は「Tax Cuts and Wages Redux (Slightly Wonkish)」)で論じている。 そこで彼は以下の3種類の説(および現象)を紹介している。 楽観論者の説 ケビン・ハセットやTax Foundationは以下のような説を唱えていた。 財や労働の市場は完全競争に近い。 米国は世界資市場の一部であり、その市場では税引き後の利益率は概ね均等化される。 従って、法人税率を引き下げると米国は世界から資流入を惹き付ける。資ストックの増加により資の税引き前利益率が下がり、労働を求める競争は高まる。そのため、賃金は上昇する。長期的には減税の便益はすべ

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  • 有効求人倍率の内訳 - himaginary’s diary

    最近の人手不足は人口減少によるものであり、しかも人口の高齢化を反映して求人は介護関係に偏っている、という話を時々耳にする。 この話の前段に対しては、労働力人口は増加している、という反論がなされることが多い。それに対しては、いや、増えているのは女性や高齢者で、働き盛りの男性は減っている、という指摘も良くなされる。 試しに総務省統計局のHPから年齢階級別の労働力人口を落として描画すると以下のようになる。 これではわかりにくいので前年差の推移をみてみる。 これをみると、確かに労働力人口は増えているが、15-65歳の男性は減っており、増加を支えているのは女性と65歳以上の男性であることが分かる。 では、冒頭の話の後段はどうだろうか? 総務省の同じページから産業別就業者数を落として同様に前年差を描いてみたのが下図である*1。 分かりやすくするために「医療・福祉」を赤色にしてみたが、確かに他の産業の増

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  • 財政緊縮策がナチスを台頭させた - himaginary’s diary

    という主旨のNBER論文が上がっている。論文のタイトルは「Austerity and the rise of the Nazi party」で、著者はGregori Galofré-Vilà(ボッコーニ大)、Christopher M. Meissner(UCデービス)、Martin McKee(ロンドン大学衛生熱帯医学大学院)、David Stuckler(ボッコーニ大)。 以下はその要旨。 The current historical consensus on the economic causes of the inexorable Nazi electoral success between 1930 and 1933 suggests this was largely related to the Treaty of Versailles and the Great Depres

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  • カサアゲノミクスの内訳 - himaginary’s diary

    石町日記さんツイート経由で、昨年末のGDP改定において名目GDPが2008SNA対応以外の要因で増加したことを問題視している人がいることを知った。具体的には、こちらの公表資料の1ページ目などに記されている改定前後の比較表の差分において、「うち その他」という項目が2013年度から2015年度に掛けて急速に増加している(2012年度=0.6兆円、2013年度=4.0兆円、2014年度=5.3兆円、2015年度=7.5兆円)のは、アベノミクスを良く見せるために数字が操作されていることの証左である、という指摘である。 その方が著書の編集者を通じて内閣府に問い合わせたところ、「その他」の内訳は無い、という回答が返ってきたという。そのため「私はこの回答をもって,GDP改ざんを確信した」とのことである。 ただ、その方の10/12のブログ記事に掲載されている内閣府の回答メールでは、参考資料として幾つか

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