尖閣諸島沖で発生した日本と中国の対立は、政治問題に留まらず、日中間のビジネスにも深刻な影響を与えかねない事態へと発展した。中国をはじめ新興国の成長に依存する日本の経済モデルは、足許が揺らいでいる。今後、日本が中国と理解を深め合い、経済協力を続けていくためには何が必要か? それにはまず、中国の強硬な外交路線の背景に、不確実性に悩む“もう1つの顔”があることを、理解すべきだ。一方で、中国への過度な依存体質から脱却し、戦略的なビジネス・ポートフォリオを再構築する必要がある。(日本総研理事・主席研究員 呉 軍華) ご・ぐんか/日本総合研究所理事・主席研究員。日総(上海)投資コンサルティング有限公司董事長・主席研究員。ウッドローウィルソンインターナショナルセンター公共政策研究フェロー。1983年中国復旦大学卒業、90年東京大学大学院博士課程修了。日本総合研究所入社後、香港駐在首席研究員、香港駐在事務