茂木健一郎 次の総選挙が近いと言われている。日本をよりよい国にするために、私たちが直面している政治的な課題は何か。今後の日本の道筋を見極めるために、直近の過去を振り返って整理しておきたい。 2009年の民主党による政権交代は、戦後ずっと続いていた自民党による長期政権に終止符を打ち、日本にも、世界の民主主義国で標準的な本格的な政権交代のスキームをもたらすものとして注目され、期待された。 課題になっていたのは、日本の統治機構の立て直しであった。戦後、長期政権が続いてきた中で、官の力が強くなりすぎたと多くの人が感じていた。民間の活力に基づく国の再生を図らなければ、日本の復活はないと考えられていたのである。 ここで、大前提として確認しておくべきことは、民主党が政権交代の課題として挙げた構造改革や、霞ヶ関の統治機構の立て直しは、統治機構をよりインテリジェントで「筋肉質」のものにするという意味で国の発