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ブックマーク / davitrice.hatenadiary.jp (37)

  • 『ガリレオの中指』、『人はなぜレイプするのか』、学問における事実とイデオロギーの関係 - 道徳的動物日記

    Galileo's Middle Finger: Heretics, Activists, and the Search for Justice in Science 作者: Alice Dreger 出版社/メーカー: Penguin Books 発売日: 2015/03/10 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 今回紹介するのは、私が最近読んでいるである、アリス・ドレガー (Alice Dreger)の著書『ガリレオの中指:異端者、活動家、正義の探求(Galileo's Middle Finger: Heretics, Activists, and the Search for Justice)』に書かれている内容。 『ガリレオの中指』は、活動家や学者たちのアイデンティティやドグマやイデオロギーがいかに科学的探求を歪めてきて、不都合な科学的知見を発表する科学者を攻

    『ガリレオの中指』、『人はなぜレイプするのか』、学問における事実とイデオロギーの関係 - 道徳的動物日記
  • 「思想の自由市場」の価値とはなんだろうか? - 道徳的動物日記

    ヘイト・スピーチという危害 作者:ジェレミー・ウォルドロン みすず書房 Amazon 前回の記事でも紹介したジェレミー・ウォルドロンの『ヘイト・スピーチという危害』では、表現の自由を擁護する議論の古典であり現代でも頻繁に参照されているジョン・スチュアート・ミルの『自由論』について、批判的に述べられている。 …(前略)…『自由論』におけるミルの立場とは、真理の探究は論争の唯一の重要な点ではない、というものだった。彼の言うところでは、論争は公衆の間に確立された真理についての「生き生きとした理解」を維持し、それらの真理が「感情の中に浸透し、行動に対する真の支配を獲得する」ようにするためにも、言い換えれば、それらがたんに教説の空っぽの殻にならないようにするためにも、重要である。この観点からは、コンセンサスの出現は不利益のように見えるかもしれない。「真理をその反対者に対して擁護する…必要によって、真

    「思想の自由市場」の価値とはなんだろうか? - 道徳的動物日記
    tikani_nemuru_M
    tikani_nemuru_M 2023/06/09
    面白く読んでるよ/事実認識と価値判断の二分法がここでこそ有効と思う。デマに言論の自由を認める必要はない一方、価値に関する言論には自由が要請される、という切り分け。学問共同体は事実認識に権威をもつべき。
  • ピーター・シンガーによる「言論の自由」論 - 道徳的動物日記

    出勤前の短い時間なのでメモ的な記事。 www.project-syndicate.org 昨年の11月に倫理学者のピーター・シンガーが書いたコラム。イ ーロン・マスクTwitterを買収したことに言及しながら、自身が編集委員をやっている雑誌 Journal of Controversial Ideas (論争的な問題についてのジャーナル)について紹介(宣伝?)するような内容だ。 とくに重要だと思ったところを、(時間ないので)Chat GPTに訳してもらった。 マスクが「Wokeの精神のウイルス」と呼ぶもの……政治的に正しくないと見なされる意見を主張する人々を攻撃したがること……そして政治的な立場を横断した真の対話が欠如していることに関して、私はマスクと同じ意見を持っている。だからこそ、私はJournal of Controversial Ideas という学術雑誌の創設編集者の一人となっ

    ピーター・シンガーによる「言論の自由」論 - 道徳的動物日記
    tikani_nemuru_M
    tikani_nemuru_M 2023/06/01
    polemicの語義の話が面白かった。例えば「普通の日本人」の「普通の」はpolemicと訳すべきだよね、とか/「上流」がぜんぜん信用できなくなっちゃったらどうすればいいんだろうか?
  • フェミニズムと動物:まとめと批判 - 道徳的動物日記

    An Introduction to Animals and Political Theory (The Palgrave Macmillan Animal Ethics Series) (English Edition) 作者:Cochrane, Alasdair Palgrave Macmillan Amazon 先日に引き続き、「フェミニズムと動物倫理」というテーマでお勉強。 今回は政治哲学者のアラスデア・コクレーン(Alasdair Cochrane)のAn Introduction to Animals and Political Theory(『動物と政治理論:入門』)の第7章「フェミニズムと動物」に書かれていることをまとめる。 なお、書では、「功利主義と動物」「リベラリズムと動物」「共同体主義と動物」「マルクス主義と動物」という章もある。また、ただ単にまとめるだけではなく、

    フェミニズムと動物:まとめと批判 - 道徳的動物日記
    tikani_nemuru_M
    tikani_nemuru_M 2023/03/16
    本筋ではないが、動物が非理性的で感情的だ、というのは大間違いだと思う。動物においては合理性が理性と感情に分離していないだけだと思う。合理的でないものは生存していない。
  • 読書メモ:「動物の権利とフェミニズム理論」 - 道徳的動物日記

    The Feminist Care Tradition in Animal Ethics: A Reader Columbia University Press Amazon Animal Rights and Feminist Theory - JSTOR 唐突に思われそうだが、日から一時的に動物倫理に関する文献を読んで読書メモをここに書くターンに突入する。……というのも、「動物倫理とフェミニズム」というテーマで、某学会で発表するかもしれない予定があるから*1。 とりあえず手始めにジョゼフィーン・ドノヴァンの「動物の権利とフェミニズム理論」から読む。発表は1990年ともうかなり古くなってしまったが、「動物倫理とフェミニズム」というテーマとしては代表的かつ古典に位置する論文だ。 ・「ハムサンドイッチ問題」 この論文の冒頭では、ピーター・シンガーの『動物の解放』の序文から、シンガー夫が「

    読書メモ:「動物の権利とフェミニズム理論」 - 道徳的動物日記
    tikani_nemuru_M
    tikani_nemuru_M 2023/03/10
    ドノヴァンの「either/or」ジレンマに対する反論は、要するに思考実験の否定であり、功利主義だけではなくロールズ的な規範理論からの批判からも「逃げ」てるだけに思えるなあ。科学的思考の否定でもあるし。
  • 人文書じゃなくてファンブック(読書メモ:『布団の中から蜂起せよ:アナーカ・フェミニズムのための断章』) - 道徳的動物日記

    布団の中から蜂起せよ: アナーカ・フェミニズムのための断章 作者:高島 鈴 人文書院 Amazon (※ この記事を公開した翌日に、「追記」を公開している。むしろ「追記」のほうがより気合い入れて書いているので、こちらも参照してほしい。) davitrice.hatenadiary.jp まず先に書いておくと、わたしは著者(高島)に対してよい印象を持っていない。というか、明確に嫌いである。 嫌いな理由のひとつは…なんか知らんうちにTwitterでブロックされていたのもきっかけではあるけれど…オンラインで読める著者の文章が中身のないアジテーションにしか思えなかったということだ*1。 それ以上に、2020年3月臨時増刊号の『現代思想』に掲載された千田有紀の文章に対して、2021年11月号の『現代思想』で議論や論証を行うことなく「千田の文章はトランス排除的であり、文章を掲載した『現代思想』は責任を

    人文書じゃなくてファンブック(読書メモ:『布団の中から蜂起せよ:アナーカ・フェミニズムのための断章』) - 道徳的動物日記
    tikani_nemuru_M
    tikani_nemuru_M 2023/02/02
    僕は本来これなんだが>“アナーキズム/フェミニズム/障害学などについての知識をすでに持っているかつそれらの発想に親和的で、新自由主義/能力主義/権力/ルッキズムといったものを問題視しているタイプの人”
  • 読書メモ:『リベラルとは何か 17世紀の自由主義から現代日本まで』 - 道徳的動物日記

    リベラルとは何か 17世紀の自由主義から現代日まで (中公新書) 作者:田中拓道 中央公論新社 Amazon ●ワークフェア競争国家 「ワシントン・コンセンサス」は、「底辺への競争」論とともに、新自由主義が世界を席巻しつつあることの象徴として語られてきた。しかし、これらは1990年代以降の先進諸国の実態とは必ずしも対応していない。すでに第1節で見たとおり、先進国の多くでは、税収も公的社会支出も減っておらず、「底辺への競争」は見られないからである。 さらに、「ワシントン・コンセンサス」もそのままあてはまるかどうか疑問である。たしかに、1980年代のアメリカやイギリスでは新自由主義的改革が試みられた。しかし、どちらの国でも「小さな政府」は実現できなかった。国内で格差が広がると、新自由主義への反発が強まり、1990年代に入ると政権交代が起こった。経済界、金融財政エリートの意向だけでは、新自由主

    読書メモ:『リベラルとは何か 17世紀の自由主義から現代日本まで』 - 道徳的動物日記
    tikani_nemuru_M
    tikani_nemuru_M 2023/01/19
    「「社会制度」や「政治参加」が人々の「自尊」にもたらす効果を過大評価する傾向があるように思える」←それは持てるものの感覚だよ。「できるけどやらない」と「やりたくてもできない」はまったく違う。
  • 「だれを好きになるか」を批判の対象にしていいのか?(読書メモ:『すごい哲学 世界最先端の研究が教える』 - 道徳的動物日記

    世界最先端の研究が教える すごい哲学 総合法令出版 Amazonしてもらったので読んだ。十数人以上の若手日人哲学者が「サステナブルなファッションを選ぶにはどうしたらいいか?」や「小説を読むことで人はやさしくなれるのか?」といった具体的かつ詳細なトピックについて、(主に海外の)最新論文を紹介しつつ3〜5ページで短く論じる、という。 全体的に執筆者たちは自分の書いているトピックについて距離がとれており、冷静であっさりした文体が多い。「まえがき」では「少し変わった哲学の入門書」とされているが、哲学の考え方や方法を体系的に学べる教科書といったものでもない。全体的なとりとめのなさから、「哲学・倫理学の与太話集」といった表現のほうが合っている気もする。 とくにわたし自身の生活や人生経験に関わるものとして興味のあるトピックを挙げると、「マッチングアプリで好みでない人のタイプを書くのは差別か?」

    「だれを好きになるか」を批判の対象にしていいのか?(読書メモ:『すごい哲学 世界最先端の研究が教える』 - 道徳的動物日記
    tikani_nemuru_M
    tikani_nemuru_M 2023/01/18
    「誰を好きになるか」は愚行権で擁護されると思う。外見やら収入やら人種やらで相手を選ぶのは、愚行かもしれないが(多分愚行だw)、愚行という理由で否定されたら自由主義ではない。
  • 正義論と自己責任論(読書メモ:『平等とは何か』①) - 道徳的動物日記

    平等とは何か 作者:ロナルド・ドゥウォーキン 木鐸社 Amazon 11月から読み始めたのだが、オンライン記事や書評の依頼が重なったり年末年始に遊び過ぎたりしていて、読み終えるのに二ヶ月かかってしまった ちなみに、ここで紹介する責任論や「運の平等主義」と呼ばれるドゥウォーキンの考え方については入門書などである程度は知っており、下記の記事もこの考え方に基づいたものである(字数が足りなかったり削られたりして全く不十分な内容になってしまったし、そもそも抽象的であるからテーマ自体がオンライン記事には不向きなものであったように思えるけど)。 shueisha.online 人々の運命は選択と環境によって決定される。選択は人格(personality)を反映しており、人格自体は二つの主要な構成要素から成っている。すなわち、企図(ambition)と性格(character)である。ある人の企図とは、そ

    正義論と自己責任論(読書メモ:『平等とは何か』①) - 道徳的動物日記
    tikani_nemuru_M
    tikani_nemuru_M 2023/01/11
    そこはむしろ別々のほうが望ましいくらいだと思う>「個人が行う規範的な判断に関する倫理学理論と、社会や政治的共同体などが集団として行う規範的な判断に関する正義論とで別々の理論を採用することは問題ない」
  • フェミニズムの「むずかしさ」に向き合う(読書メモ:『むずかしい女性が変えてきた:あたらしいフェミニズム史』) - 道徳的動物日記

    むずかしい女性が変えてきた――あたらしいフェミニズム史 作者:ヘレン・ルイス みすず書房 Amazon 出版社による紹介は下記の通り。 女性が劣位に置かれている状況を変えてきた女性のなかには、品行方正ではない者がいた。危険な思想に傾く者も、暴力に訴える者さえもいた。 たとえばキャロライン・ノートン。19世紀に困難な離婚裁判を戦い抜いて貴重な前例をつくった人物だが、「女性は生まれながらにして男性に劣る」と書き残した。たとえばサフラジェットたち。女性の参政権獲得に欠かせない存在だったが、放火や爆破などのテロ行為に及ぶこともあった。たとえばマリー・ストープス。避妊の普及に尽力し多産に悩む多くの女性を救った彼女は、優生思想への関心を隠さなかった。 しかしだからといって、その功績をなかったことにしてはいけない。逆に功績があるからといって、問題をなかったことにしてはいけない。歴史は、長所も短所もある一

    フェミニズムの「むずかしさ」に向き合う(読書メモ:『むずかしい女性が変えてきた:あたらしいフェミニズム史』) - 道徳的動物日記
    tikani_nemuru_M
    tikani_nemuru_M 2022/07/04
    「「レズビアンがトランスジェンダー女性とセックスすることに抵抗感を抱くことは非難されるようなことではない」という主張」<性愛の対象は人格や性自認ではなく身体であるという見解は妥当性があると思うよ。
  • 「世の中の理不尽さ」や「不都合な真実」を強調して、それでどうするの?(読書メモ:『ただしさに殺されないために』) - 道徳的動物日記

    ただしさに殺されないために~声なき者への社会論 作者:御田寺圭 大和書房 Amazon いま執筆を進めている「反ポリコレ」の参考になるかと思って『ただしさに殺されないために〜声なき者への社会論』を読んでいるけれど、案の定、まったく面白くない。 Amazonレビューにもある通り、「身もふたもない現実」や「不都合な真実」、世の中に存在する残酷さや不条理さを指摘するだけであり、その現実や不条理さについて社会はどう向き合うべきか、個人はどうやって対処するべきか、といった前向きな提言や解決策はほぼない*1。 さらに言うと、こののなかで提示されている「現実」や「真実」は実に恣意的に選択されている。たとえば、昨今では男性に比べて女性だけが解放されたり社会的に尊重されていたりすることを何度も取り上げて、そのことが(弱者である)男性に対してもたらす苦痛や苦悩や理不尽さといったものが繰り返し強調されるが、

    「世の中の理不尽さ」や「不都合な真実」を強調して、それでどうするの?(読書メモ:『ただしさに殺されないために』) - 道徳的動物日記
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    tikani_nemuru_M 2022/06/23
    白饅頭をちゃんと批判してるのはえらいなあ/白饅頭やそのとりまきのいう理不尽さとか不都合な真実とかいうものがそもそも主観的なお気持ちだって話。フェミの言い分のほうが統計的事実にそってるからねえ。
  • レトリックに基づいて物事を考えてはいけない理由 - 道徳的動物日記

    ローマ皇帝のメンタルトレーニング 作者:ドナルド・ロバートソン CCCメディアハウス Amazon 英語圏で定期的に出版されている、ストア哲学をライフハックや自己啓発に活かす方法を説くタイプのだ*1。 書の特徴のひとつは、数多くいるストア哲学者のなかでもローマ皇帝のマルクス・アウレリウスを主人公としていること。各章の前半では彼が人生で経験した様々な出来事や問題と当時のローマの世情や政局を描きつつ章のテーマとなる課題を示しながら、章の後半ではその課題に具体的に対処する方法が解説される(前半は歴史読み物風に「〜だ〜である」調、後半は解説書風に「〜です〜ます」調に訳し分けられているところも印象的)。 もうひとつの特徴は、著者が認知心理療法士であるということから類書よりもストア哲学と認知行動療法の共通点が強調されており、具体的なアドバイスも類書に比べて心理療法的で実践的であるというところだ。

    レトリックに基づいて物事を考えてはいけない理由 - 道徳的動物日記
    tikani_nemuru_M
    tikani_nemuru_M 2022/05/31
    佐藤信夫「レトリック認識」をもって、レトリックは人間にとって必要な認識方法のひとつであると主張しておく/「本人の感情や主観を全肯定することはその本人にとって有害である」←これはソノトオリ。支持する。
  • 「正しい」議論と「優しい」議論 - 道徳的動物日記

    とある雑誌に依頼を受けて文章を書き出したはいいものの、批判対象を明示せずにふわっとした印象に基づいてレッテルを貼ってぐちぐち論難する文章になっていき、書き進めているうちに自分でウンザリしちゃったのでボツにして雑誌のほうはまったく異なるトピックや構成でイチから書き直すことにしたんだけれど、それはそれとして、せっかく途中まで書いたのを捨てるのも勿体無いのでこのブログに掲載することにした。 内容としては、とにかくわたしがイラつかされている議論とか風潮とかを一緒くたにしてまとめて非難する、というもの。最近に限らず以前からなんだけれど、屋に行って『現代思想』とか『文藝』とかを立ち読みするたびにいつもイライラしながら帰ることになっているので、そのあたりのストレスをこの文章に託した。おかげで多少はスッキリしたので明日から書く文章はもっとまともで生産的なものになると思う。 ※ 人が社会のなかで生きていく

    「正しい」議論と「優しい」議論 - 道徳的動物日記
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    tikani_nemuru_M 2022/04/11
    これはあまり同意できないかな。アマルティア・センの経済学の議論や進化心理学における人間観の転換はあくまで「正しい」議論だと考えている。進化論の優勝劣敗なんてのは資本主義イデオロギーの敷衍でしょ。
  • 「非モテ」は「モテないからつらい」、ではない?(読書メモ:『「非モテ」からはじめる男性学』) - 道徳的動物日記

    非モテ」からはじめる男性学 (集英社新書) 作者:西井開 集英社 Amazon 第一章で提示される、書のねらいは以下の通り。 ……登場してから二〇年以上もの間、「非モテ」論は主にネットを中心として議論と考察が繰り返されてきた。その蓄積に敬意を払うと同時に、私は「非モテ」論が限界に立たされているとも感じている。それは、これまで見てきた「非モテ」論の多くが「モテない」こと、つまり恋人がいないことや女性から好意を向けられないことが問題の核心であるという前提に立っているという点にある。 (…中略…) 果たして当に「非モテ」男性はモテないから苦しいのだろうか。時に暴力にまで走ってしまうほどの苦悩の説明を「モテない」という状況にだけ求めてしまっていいのだろうか。書で問おうとするのはここである。 ところで杉田[俊介]は『非モテの品格』の中で、性愛的挫折がトラウマのように残り続ける原因として、非正

    「非モテ」は「モテないからつらい」、ではない?(読書メモ:『「非モテ」からはじめる男性学』) - 道徳的動物日記
    tikani_nemuru_M
    tikani_nemuru_M 2022/02/05
    “「男性特権が実在する」や「女性のほうが男性よりも社会的に抑圧されたり周縁化された集団である」といった前提を真として”←統計的なファクトを受容すればそうなるんだが。
  • 「ハッピーエンド」を唱える議論には警戒せよ(『資本主義が嫌いな人のための経済学』読書メモ①) - 道徳的動物日記

    主義が嫌いな人のための経済学 作者:ジョセフ・ヒース NTT出版社 Amazon まずは「エピローグ」から引用。 若かりしころの私は、社会正義の問題など簡単だと考えていた。世界には二種類の人間がーー根っから利己的な人間と、もっと寛大で思いやりのある人間がいるように思われた。世界に不正や苦難があるのは、利己的なやつが自分の利害にかなうように仕組んだせいなのだ。したがって、この問題の解決法は、もっと思いやりをもつように人々を説得することだ。それがダメなら、思いやりのある人が政治権力を手にできると保証することだ。そのうえ、例の「見えざる手」のレトリックのせいで、資主義とは、利己的な人間が自分の利益を増やすためにこしらえたシステムであり、右派の政党がこの作戦にイデオロギーの隠れみのを与えるために存在しているのは明白だと私には思えた。だから反資主義は、率直な道徳的要請のような気がした。政府は

    「ハッピーエンド」を唱える議論には警戒せよ(『資本主義が嫌いな人のための経済学』読書メモ①) - 道徳的動物日記
    tikani_nemuru_M
    tikani_nemuru_M 2021/12/14
    「本当に頭のいい人はものごとを複雑化しない。鮮やかにシンプルに提示する」という神話があるだろ? あれがまずいんだよね。複雑なものは単純化するな、という話が通じない原因のひとつ。
  • 「特権」概念の不毛さ - 道徳的動物日記

    somethingorange.biz 上記は海燕氏によるブログ記事。 二週間前の記事だけど、下記について、思うところを書いてみよう。 つまり、「ホワイト・フラジリティ」とか「マイクロ・アグレッション」とは、ある体制において特権を持つマジョリティ(この場合は白人)は、たとえリベラルな反差別意識を持っていても、ただ生きているだけで差別主義者であり、その自覚をもって体制を変えていく責任を有する、と告発するための言葉なのだ。 上の青井ケイさんのツイートでは、ラーメン評論家もまたラーメン業界において不正な権威を持つ存在である以上、たとえ自身が差別やハラスメントを行っておらず、それどころかそれらの行為に反対していてさえ、一定の責任を持つことになるのだ、だから「自分はやっていない」などとイイワケせずに業界の健全化を行え、といいたいのだと思う(たぶん)。 さて、どうだろうか。あなたはこういった主張をどう

    「特権」概念の不毛さ - 道徳的動物日記
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    tikani_nemuru_M 2021/10/13
    同意>「本来、「だれかが(不当な)不利益を被っていること」は不当な事態であり改善されるべきことであるとしても、「だれかが(不当な)不利益を被ってないこと」は不当な事態ではなくて望ましいことである」
  • 「傷つき」と表現の自由(読書メモ:『表現の自由を脅すもの』) - 道徳的動物日記

    gendai.ismedia.jp 昨日に公開された現代ビジネスの記事ではジョン・スチュアート・ミルの『自由論』を紹介したが、ミルと同じようなタイプの主張を現代において行なっているである、ジョナサン・ローチの『表現の自由を脅すもの』にも目を通してみた。現代といっても1993年であり、30年前のではあるんだけれど……。 表現の自由を脅すもの (角川選書) 作者:ジョナサン ローチ 角川書店 Amazon しかし、30年前であるのに、こので問題視されている状況は現代とまったく同じようなものだ。つまり、アメリカのジャーナリズムやアカデミズムでは表現の自由が脅かされていること、その脅かしは宗教的原理主義者や右翼だけではなく左派からも訪れていること、そして彼らが表現の自由を制限したり抑圧したりしようとする根拠はマイノリティに対する配慮や同情であるということだ。 90年代の前半ということはSNS

    「傷つき」と表現の自由(読書メモ:『表現の自由を脅すもの』) - 道徳的動物日記
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    tikani_nemuru_M 2021/06/27
    これ、僕もむかし書評のごときものを書いた。https://tikani-nemuru-m.hatenadiary.org/entry/20090716/1247675463
  • 読書メモ:『恋人選びの心:性淘汰と人間性の進化』 - 道徳的動物日記

    恋人選びの心―性淘汰と人間性の進化 (1) 作者:ジェフリー・F.ミラー 発売日: 2002/07/15 メディア: 単行 davitrice.hatenadiary.jp 『Virtue Signaling』の書評で書いたようにわたしはジェフリー・ミラーは文筆家としてはあまり好ましく思っていないところがある。『恋人選びの心』も、「人間に特有の知性や言葉や芸術性やユーモアはすべて性淘汰の産物として進化してきた」という理論でなんでもかんでもされており、「牽強付会」という感が付きまとう。 とはいえ、ミラーが提示しているのあくまで仮説であり「この仮説を使えばあんなこともこんなことも説明できますよ」というデモンストレーションとして、批判は承知のうえで、あえていろんな物事について「性淘汰とシグナリング」の理論を当てはめて説明しているのかもしれない。 このの1〜3章では、ダーウィンによる性淘汰の発

    読書メモ:『恋人選びの心:性淘汰と人間性の進化』 - 道徳的動物日記
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    tikani_nemuru_M 2021/01/01
    進化心理学による女性のアート指向への説明については、子供や孫の適応度をあげるための「おかんアート」というのはどうだろうか? (おかんアートは世界中に普遍的に存在すると思っている)
  • 「表現の自由」の滑りやすい坂道? - 道徳的動物日記

    2019年の日のネット論壇では、例年のごとく「萌え絵」や二次元キャラクターの性的表現、およびそのような表現を公共の場で展示することの是非、などなどが話題になった。 毎年のように繰り返されている論争であり、今年も大して議論の進展があったように思われない。とはいえ、いくつかは有意義な記事が公開されたりもした。たとえば、社会学者の小宮友根氏が現代ビジネスに公開した記事では、萌え絵を問題視する主張の理路について比較的わかりやすい文体で丁寧に説明されていたと思う。 gendai.ismedia.jp だが、萌え絵「擁護」側の人たちはこの記事の内容にも満足いかず、全否定している人が大半であるようだ。 私としては、そもそも、心情的には萌え絵「批判」側にほぼ同意している。しかし、自分なりにこの問題について少しは考えたいと思って、先日にはミルの『自由論』を読んだし、今回は『「表現の自由」入門』を読んだ次第

    「表現の自由」の滑りやすい坂道? - 道徳的動物日記
    tikani_nemuru_M
    tikani_nemuru_M 2020/12/10
    「滑りやすい坂道論法」で起きた戦争があるんだ。ベトナム戦争っていってね。もっとも当時は「滑りやすい坂道論法」ではなく「ドミノ理論」と呼ばれていたのだが。
  • 「ラディカル」な議論が左翼やフェミにウケる理由(読書メモ:『荷を引く獣たち:動物の解放と障害者の解放』) - 道徳的動物日記

    荷を引く獣たち: 動物の解放と障害者の解放 作者:テイラー,スナウラ 発売日: 2020/09/10 メディア: 単行 版元による紹介はこんな感じ。 スナウラ・テイラーは、一人の障害当事者として、障害者運動と動物の権利運動の担い手として、そして一人の芸術家として、読者に問いかける。もし動物と障害者の抑圧がもつれあっているのなら、もし健常者を中心とする制度と人間を中心とする倫理とがつながっているのなら、解放への道のりもまた、交差しているのではないか、と。 彼女は考えつづける。デモに参加しながら、絵を描きながら、対話しながら、べながら。いったい何が、動物たちから人間を、障害者ではない人たちから障害者を、区別しているのだろうか、と。 彼女は考えつづける。身体的・精神的な能力の有無や高低(世界の中でどのように動いたり、動けなかったりするか)を基準にして、私たちは、自分を「人間」として意識し、他

    「ラディカル」な議論が左翼やフェミにウケる理由(読書メモ:『荷を引く獣たち:動物の解放と障害者の解放』) - 道徳的動物日記
    tikani_nemuru_M
    tikani_nemuru_M 2020/11/29
    インターセクショナリティについては、類似の「効果」をもたらす、ことはよくあるのではないかと思う。ただし、その場合「処方箋」はまるで異なるものになるはずではある。